海辺の町が“やさしい電気”で満たされた奇跡の1週間――子どもたちも笑顔に

夕暮れ時の再生可能エネルギーで明かりの灯る家々と、通りで語り合う住民たちの様子。 再生可能エネルギー
風合町の優しい電気に包まれ、笑顔があふれる町の夜の始まり。

海と山に囲まれた青森県の小さな町・風合町(ふうあいまち)。ここで先日、町のすべての暮らしを再生可能エネルギーだけでまかなう挑戦が行われ、見事に成功した。町を包んだのは、エコ住宅から放たれる温かなオレンジ色の灯りと、どこか嬉しそうな住民たちの表情だった。住民たちは「自然の恵みだけで生活できるなんて夢みたい」と、夜空に向かってささやく。町の風景が変わった奇跡の1週間、その舞台裏には、地域の絆と小さな偶然、そして多くの優しい想いがあった。

町の電気は、海風を受けて回る風車、漁港の波を活用した海洋エネルギープラント、そして民家や小学校に輝く太陽光発電パネルから生まれる。風合町再生エネルギー協議会の会長・有吉圭一(ありよしけいいち/54)は、「今年は春の嵐で海も風も元気だったので、ほんの少しの努力で実現できました」と笑顔。しかも、電力自由化の波に乗り、住民それぞれが発電した電力を町内でやりとりできるようになっており、お隣さんに分けてもらった“やさしい電気”で動く電気自動車に乗った佐藤美月(さとうみつき/主婦・36)は、「子どもの給食を運ぶ車が地熱で動くんですよ!なんだか給食も美味しく感じます」と声を弾ませる。

このチャレンジの裏には、子どもたちによるちょっとした偶然もあった。地熱発電所で開催された親子見学会の際、児童の田村莉央(たむらりお/9)が「町のみんなで電気を作ったら、夜に星がもっときれいに見えるかな」と話したのがきっかけで、町ぐるみの再エネ週間が決定。その後、天気にも恵まれ、全戸参加型の『おすそ分け電力プロジェクト』がスタートした。家庭ごとに余った電気を、隣家の高齢者宅に届けるための“電力シェア便”を中学生たちがボランティアで運営するという温かな仕組みも生まれた。「人のぬくもりが伝わる電気。これが理想のエネルギーだと思いました」――協議会の事務局員・菅野真吾(かんのしんご/41)は感動を語る。

SNS上でも話題は尽きない。地元で人気のベーカリー「LYS」は『おひさまパン』を限定発売し、「パンも町の電気で焼きました!」と発信。外部からも「子どもの頃に憧れた町が現実に」「全国でも広がってほしい」といった声が続々と寄せられた。ESG投資のアドバイザー・根岸沙由里(ねぎしさゆり/38)は「こうした草の根型の挑戦は、まさに持続可能性の模範。再生可能エネルギーと地域のぬくもりが重なることで、真の豊かさが生まれる」とコメントしている。

今回のプロジェクト終了後も、町内には穏やかな余熱が残る。田村莉央くんは「まだやってない家があったら、ぼくが電気を届けに行くよ」とにっこり。大人たちは「次は冬にも、町ぐるみで温かい電気を分け合いたい」と、笑顔で語り合っていた。風合町には、今日も優しい電気が流れ続けている。

コメント

  1. 子育て世代として、こんな町に住めたらいいなって本当に思います。子どもたちが町や自然にワクワクしてる姿、想像してほっこりしました。優しい電気で動く給食カー、すごく素敵です!

  2. 高齢者の家にも子どもたちが電気を届けてくれるなんて、涙が出ました。昔は助け合いが当たり前だったけど、今ではなかなか難しい時代。こういう温かい試みがもっと広がるといいですね。

  3. え、再エネで町中まかなっちゃうとかヤバくないっすか!?ニュースだけど、何か自分の地元もこうなったら面白いな〜って思った。中学生のボランティアもカッコイイ!

  4. 私は風合町の近くでお店をしています。毎朝パンを焼いてるLYSさんのお話に、こちらまで元気をもらいました。オレンジ色のあかりが町中に灯るなんて、きっと素敵な光景だったんでしょうね。ぜひ、一度見てみたいです。

  5. こういうプロジェクトを見ると、やっぱり「町のみんなで力を合わせる」って大事だなって思います。うちはまだ規模は小さい自治会ですが、ちょっとしたことから真似してみたい!