色とりどりのコスチュームを身にまとった人々による突然のダンス――その場に居合わせた市民たちが、不思議な一体感に包まれた。多様な文化の曲と踊りを通じて社会正義の大切さを伝える、市民団体「ブリッジ・オブ・ハンド」が企画したフラッシュモブが、横浜市の中央大通りで行われた。
このフラッシュモブは、NPO法人「ブリッジ・オブ・ハンド」の共同代表・森川ルシアさん(35)が中心となって仕掛けたもの。森川さんは昨年、SNSで外国にルーツを持つ友人たちとオンラインキャンペーンを行い、そこに賛同した市民が集まって今回のフラッシュモブが実現した。「一度でいいから、まちを歩く人みんなが一緒に踊り合えたら。違う国の言葉やリズムでも、『楽しい!』という気持ちは共通ですよね」と森川さん。会場には日本語、ポルトガル語、アラビア語、ウクライナ語などさまざまな言葉の掛け声が響き渡った。
この活動が生まれたのは、街で起きた小さなすれ違いがきっかけだったという。森川さんの友人でウズベキスタン出身のアルティナ・サイドヴァさん(29)は、去年初めて日本の大通りで暮らし始めた。ところが、文化の違いや言葉の壁から、思わぬ誤解や孤立を感じることが少なくなかった。そんな時、近所の高校生グループが毎週土曜日に母国のダンスを教えてくれたことから、次第に地域の輪が広がっていった。「日本に来てよかったと思えるきっかけがダンスでした。今度は私たちが、誰かの勇気になりたいと思ったんです」とアルティナさんは語る。
当日は約200人がダンサーとして参加し、フラッシュモブは老若男女や障がいの有無に関係なく幅広い人が輪に加わった。同時に、オンラインでは同じ楽曲を使って動画を投稿するキャンペーンも行われ、SNS上では“踊ってつながろう”のハッシュタグがトレンド入り。「通勤途中に偶然踊りの輪に巻き込まれて、朝からすごく元気をもらえました」「見知らぬ人と目を合わせて自然に笑顔になれた」といった喜びの声が数多く投稿された。
社会学者の相澤フユコ氏(明治大学)は「互いの文化を尊重しあう運動がダンスのような身体表現を通して広がるのは、とても現代的。フラッシュモブのような体験は、違いを超えた共感を育てる場になり得ます」とコメント。市内の高齢者会館にもこの企画が伝わり、来月にはシニアと子どもたちによる多世代フラッシュモブの開催も決定したという。
街の片隅で生まれた小さな輪が、世代や国境を超えて広がる。踊りの余韻が街に残る今、多文化共生への歩みがまたひとつ、鮮やかな色を重ねた。
コメント
小学生の娘がダンス好きなので、こういうイベントがもっと広がったらいいなと思います!いろんな国の音楽や踊りを通じて、自然に多文化が身近になるって素敵ですね。娘と一緒に参加してみたいです。
70歳近い私ですが、ニュースを読んで胸が温かくなりました。若い頃は地元だけの盆踊りくらいしか触れませんでしたが、今は本当に国際的で、地域全体が家族のように感じます。来月のシニアと子どものフラッシュモブ、観に行くつもりです。
めっちゃ面白そう!SNSで動画見てたけど、こんな一体感、リアルで感じてみたい。いろんな国の人と日常でつながれるって、やっぱり踊りとか音楽のパワーすごいですね。次あったら絶対混ざりたい!
通勤途中でちょうど遭遇した者です!一緒に踊ったわけじゃないけど、その場のあたたかい雰囲気にすごく元気をもらいました。知らない人とも自然と笑顔で挨拶できて、朝からラッキーな気持ちになりました。
日本に来てまだ半年ですが、こんな素敵なニュースに出会えてうれしいです!違う国から来た人でも、ダンスで心がつながるのは本当に共感しました。わたしもフラッシュモブに参加してみたいです。