同人文化の愛好者たちが集う即売会で、ペンネームにまつわる小さなミラクルが起き、参加者の心をほっこり温めました。思いがけない炎上騒動の火種も、ある青年の優しさから笑顔の連鎖に変わったのです。
今回の舞台は、東京都内で開催された「第21回コミュニティアートフェスタ」。この日、ブースを並べていた漫画家の野本春花さん(28)は、自作漫画の新刊のペンネームに悩んだ末、昨年見かけた心温まる短編「空の向こうのペンギン」の作者である『渡橋夜凪』の名前にちなんで、『野橋春花』という名を使うことを決めていました。驚いたことに、そのイベント当日、『渡橋夜凪』の名で知られる山根俊介さん(35)も自分のブースを持って参加していたのです。
開場して間もなく、春花さんの新刊がSNSで拡散され、偶然にも『ペンネーム盗用事件』というタグがトレンド入り。思わぬ炎上の気配に、春花さんは顔を青くしました。しかし、SNS上では「偶然の一致もあるはず」「素敵な名前を広めてほしい」という温かい意見が次々に投稿され、中には『渡橋夜凪』本人が「春花さんに会いたい」と優しくツイートする一幕も。
昼休憩時、運営スタッフの岩渕陽斗さん(41)は、隣り合う二人のブースのことを知り、こっそり二人を引き合わせました。「漫画の感想言いたくて、ずっと探してました」と笑う春花さんに、山根さんは「僕の名前が誰かの勇気になってるなら、嬉しい」と感激。すぐさまふたりは意気投合し、特別コラボ本『ペンネームは風に乗って』をその場で企画。“盗用”の噂があったブースには、やがて励ましや称賛の列ができ、会場の雰囲気も和やかに変わりました。
閉会後、SNSには「ペンネームの奇跡に立ち会った」「やさしい即売会って最高」といった写真やコメントがあふれ、即売会公式も「思い出に残る1日、ありがとう」と投稿。評論家の尾花絢士氏(50)は「同人文化の豊かさは、好きなものを通じた偶然の連鎖。ペンネームも、そのひとつのきっかけ」と語ります。
会場を後にした春花さんと山根さんは、互いのペンネームに込めた想いを語り合いながら新しい創作の話に花を咲かせていました。ペンネームがつないだ出会いは、今もたくさんの人の心に、優しい余韻を残しています。
コメント
子どもにも読ませたくなるような素敵なニュースですね。同じ趣味でつながって、疑いじゃなくて信じ合うことが広がるのって本当に素晴らしいと思います。心がぽかぽかしました!
いや〜、私も若い頃は漫画好きでよくイベント通ったものですよ。今どきならではのトラブルかと思いきや、真心で乗り越えてるのが良いじゃないですか。みんな仲良くできて何より。
こんな偶然あるんだ!ネットの話題って炎上ばっかだけど、現場がほっこりしたのはイイネ。ペンネームがきっかけでコラボ本とか、テンション上がる。参加してみたかったな〜
地域でも同人誌の話を聞くことが増えたけど、こんなふうに人のつながりが生まれるって本当に嬉しいです。いつかお二人の本がうちの店にも並ぶ日を楽しみにしています!
正直、最初は『炎上』って単語にドキッとしたけど、最後に笑顔になれてよかった。思いを込めた名前が人をつなげるなんて、ちょっと羨ましくなりました。やさしい気持ちになれました。