長野県北部の穂高町体育館で、ひとつのラケットが住民たちの小さな願いを次々と叶えている。“願いのラリー祭”と名付けられた特別な卓球大会が開催され、77歳の元教師・右京直彦さんと幅広い年代の参加者が作り出す温かな交流が、町中に笑顔をもたらしている。
このイベントは、右京さんの長年の夢がきっかけになった。「大切な人とラリーを続けることでお互いの願いが少しでもかなえば」と始まった取り組みは、今や毎年恒例行事となり今年で10回目。今年の目玉は“願いのボール”。参加者は事前に自分の願いを小さな紙に書いてシールで包み、特製のボールの中に封入、そのラリー数で願いが町の掲示板にひとつずつ貼られてゆく。
当日は町内の小学生から高齢者、親子やカップルまで総勢56人が白熱のシングルスに参加。最大の盛り上がりを見せたのは、地元の中学生・及川晶さん(15)と右京さんが記録した245本のラリーだ。及川さんの願いは「パパの腰痛が治りますように」、右京さんは「町の花壇にもっと花を植えたい」。互いにリターンエースを決め合いながらもミスひとつなくラリーを続け、試合終了時には観客から自然と拍手が巻き起こった。
ラリー終了後、卓球専用SNSでは「涙が止まらない」「うちの願いもラリーで流したい」など感動の声が続出。右京さんは「卓球は点を取るだけじゃない。ラリーを続けることが、誰かの願いを繋いでいくことになると信じてます」と柔らかな笑顔を見せていた。
また、今年初開催された新競技“インドアパデル・ミニ大会”も大好評。使用するラケットに仕込まれたライトが、ラリーの度に願いの言葉やイラストを浮かび上がらせ、観客席も巻き込んだ“願いのリレー”に発展。穂高町の交流館には、完成した「願いの花壇」設計案も展示され、町ぐるみの絆が育まれている。来年は全国からの参加希望が増えており、この町発の“優しいラリー”が広がっていきそうだ。
コメント
子どもたちが夢中で卓球している様子が目に浮かびました。願いを込めてラリーするなんて素敵です!来年はうちの家族もぜひ参加したいです。
長年、この町に住んでいますが、こんな温かな催しが続いていることを誇りに思います。右京さんの想いがみなさんに届いているのを感じました。私も来年は花壇と一緒に写真を撮ろうと思います。
実は最初は親に連れられて仕方なく見に行ったけど、ラリーの熱気と願いが本当に会場に溢れていて感動しました!同世代の及川さんもかっこよかった〜。僕も来年お願い叶えてみたいです。
普段はパンを焼いてるけど、イベントの日はみんなの笑い声や拍手がよく聞こえてきて、お店の中まで幸せな気持ちになりました。こういう交流がもっと増えると町も元気になりますね!
うちも中学生の娘がいるので、及川さんの願いに思わず胸が熱くなりました。腰痛組としては一刻も早く治したいけど、家族が願ってくれるって最高のご褒美ですね。みなさん、ありがとう!