“夜カフェ魔法”が全国拡大中 家庭キッチンが町の集い場になる夜

夜の家庭のキッチンで、家族や近所の人たちがカウンターを囲み、ティーセットやスイーツを並べて談笑している様子。 おうちカフェ
自宅キッチンが地域のカフェスペースになった“バータイムカフェ”の温かな一場面。

一日の終わり、仕事帰りの人も学生もほっと一息つきたい夜。“バータイムカフェ”と呼ばれる新しいおうちカフェ文化が、ここ数ヶ月で全国各地の家庭にじわじわと広がっている。自宅のキッチンを少しアレンジするだけで、家族や近所の人々が自然と集う大人も子どもも楽しめるカフェ空間が、眠る街角にそっと灯りをともしている。

神奈川県の主婦・藤村友里子さん(42)は、毎週金曜の夜、自宅のキッチンを“夜カフェ”に変身させている。カウンターに祖母から譲り受けたティーセットを並べ、お手製の抹茶スイーツや季節のフルーツサンド、夫のブレンドコーヒーがメニューに並ぶ。始まりは小さな家族イベントだったが、今では近所の高校生や、定年退職したばかりのお隣の村山さん(66)も常連に。「友里子さんのカフェは、こころにやさしい味。会いに行くのが毎週の楽しみなんですよ」と村山さんは話す。

“バータイムカフェ”のルールは実にシンプル。家庭のキッチンに、カフェトレーやお気に入りのカップを用意し、家族やご近所からひとり1品の“振る舞いドリンク”または“自分の推しスイーツ”を持ち寄るだけ。たとえば「特製柚子ジンジャーエール」や、お父さんの「夜だけのクリーミーミルクココア」など、どの家庭でも味わいは千差万別だ。SNSでは「夜カフェの時間が、今日一日のごほうび」「町内のみんなの好きな飲み物がわかって親近感が増した」など、温かいコメントが多く寄せられている。

専門家の間でも、この“おうちバータイムカフェ現象”は注目されている。生活文化研究家の林信義氏は「家のキッチンが地域のリビングになり、世代や立場を越えた“くつろぎ”の場を生んでいる。特別な設備や高価なティーセットはいらない。カフェトレー1枚から、地域交流や家族の絆がふっくら膨らむのはすばらしいことです」と話す。

最近では、地元の陶芸クラブがオリジナルカップを制作し、夜カフェで披露する“街ぐるみプロジェクト”も企画されているとか。今年の夏は、「自分の家がちょっとしたカフェみたい」と感じられる工夫を、それぞれ楽しむ人がますます増えそうだ。静かな夜、カップの音がやさしく響くキッチン。その小さな光が、町に無数のほほえみを連れてくる。

コメント

  1. 子育て中の身としては、こんな夜カフェが近所にあったら子どもたちも一緒に安心して過ごせそうで素敵ですね。うちでも簡単なお菓子作りからチャレンジしてみようかなって思いました。

  2. この記事に出てくる村山さんのように、定年後の毎日の楽しみが増えるのは本当にうれしいことです。世代を問わず、こうした優しいつながりがある町はいいですね。

  3. バイト終わりに夜カフェでほっとできる場所があったら最高です!みんなでお気に入りのお菓子やドリンクを持ち寄るのも楽しそう。私も友達とやってみたい♪

  4. 同じ町内なのに、今まで話したことのなかった人とも夜カフェを通じて距離が縮まるかも。普段は顔を合わせるだけだけど、こういう取り組み、もっと広がればいいですね。

  5. ほんと、ほかほかした気持ちになるニュース!陶芸クラブのオリジナルカップも見てみたいなぁ。うちの町でも夜カフェ流行ってくれるといいな。