満天の星空字幕が話題呼ぶ 小さな村の手作りサブスク映画祭

星空の下、田舎の廃校跡で村人たちが白いスクリーンを見つめる映画祭の風景。 サブスクリプション動画配信
阿光村で開かれる星空サブスク映画祭には、年代を問わず多くの人が集まる。

兵庫県の山あいに位置する阿光村で、住民たちの夢から始まった“星空サブスク映画祭”が密かなブームを巻き起こしている。広い田畑の片隅、小学校の廃校跡に飾られた大きな白い幕の前で、月に一度、村の人々や遠方から訪れるファンが集い、動画配信作品のスペシャル上映と共に心温まる時間が流れている。

発案者は、元教師の森岡てる子(66)。テレビや映画館のない阿光村で、村の子ども達が“広い世界”を知るきっかけを作りたかったという。彼女が始めたのは、インターネットで合法配信されている映画やドキュメンタリー、新作アニメを毎月テーマ別に選び、手仕事で作る“村オリジナル字幕”付きで上映する企画だった。字幕には小学生から高齢者まで参加し、それぞれが思い思いの言葉や方言、解説、イラストまで添えられており、その温かみが多くの来場者を引きつけている。

『自分たちの言葉で観る映画は、本当に胸に染みます』と話すのは、大学生の山下賢吾さん(21)。都会のサブスクリプションサービスでは体験できない、手作り感あふれる字幕の工夫を楽しみに、バイクで2時間かけて通っているそうだ。毎回“再生リスト”の一つとして、村の昔ばなしや地元の記録映像も交えながら、若者と年配者が自然に語り合う姿が生まれている。

阿光村ならではの取り組みは、独占配信番組の“星空ライブ”や、お年寄りが参加する『みんなで倍速再生チャレンジタイム』など、独自の楽しみ方も生まれている。中でも癒しの名物となっているのが、“星空字幕”。画面の下に現れる日本語字幕だけでなく、くすっと笑える小ネタや“今夜の星座解説”まで、色とりどりのサイドコメントが満天の星空に重なる演出は、地元の天文愛好家と高校の美術部が共同で考案した。

SNSでは『心がほぐれた』『字幕の優しさに泣いちゃった』という感想が相次ぎ、映画祭のたびにオンラインで実況やコメントが賑わう。今年からは遠方の家族もリアルタイム視聴できるよう、阿光村発のサブスクリプション動画サービスがスタート。専門家の嶋村理恵氏(エンタメ評論家)は『人と人、土地と物語が映像という新しい“字幕”で結ばれる、とても新鮮な試み。これからの地方創生の鍵かもしれない』と期待を寄せる。

すべての字幕と動画が終了した夜は、スクリーン前に並ぶ手作りのランタンが静かに揺れる。小さな村の小さな映画祭。しかしそこには、サブスクリプション動画が人々の心を結ぶ大きな魔法が、静かに灯っていた。

コメント

  1. こんな素敵なイベント、子どもたちと一緒に参加してみたいです!小学生が字幕作りに携わるって、きっと忘れられない思い出になりますよね。阿光村の皆さんの温かさにじーんとしました。

  2. ワシらの時代には考えられんような、心がぬくもる催しじゃなあ。昔話や方言も大切にしてくれて嬉しいです。手作りランタンの灯りは、きっとみんなの心も照らしておることでしょう。

  3. うわー、これは本気で行ってみたい!普通のサブスクじゃ絶対味わえない、リアルな繋がりとワクワクが伝わってきます。自分も字幕づくりとか参加してみたいなぁ。次の開催も楽しみにしてます!

  4. 隣町に住んでいて知りませんでした。村の垣根をこえて誰でも暖かく迎えてくれそうですね。阿光村の皆さん、今度ぜひ見学させてください!地元愛にほっこり♪

  5. 今年からオンライン視聴ができるようになって本当に感謝しています。離れて暮らす家族とも、こんな優しい時間を共有できて嬉しかったです。皆さんの温かい字幕、これからも楽しみにしています!