山間の小さな村、桜峠で、年齢も性別も超えたストリートダンスバトルが開催された。普段は静かなこの村に、村人たちの笑い声や音楽が溢れ、世代を超える友情と新しい挑戦が生まれた。
ストリートダンスバトルの企画者は、小学校教師の稲生光太(32)。子どもたちが体育館の隅でリズムを刻む姿に胸を打たれた稲生さんが、村人全員参加型のイベントを思いついたのは春のことだった。村内放送や掲示板を使ってクルーを募ったところ、最年長は農家歴60年の栗栖節子さん(78)、最年少は小学2年生の岸井健太くん(7)と、幅広い層が集まった。
リーダーは“リズムの伝道師”と呼ばれる郵便配達員の矢吹隆志(45)。趣味で踊っていたが、まさか自分がダンスクルーを率いる日が来るとは思わなかったという。練習が始まると、世代をまたぐコミュニケーションの難しさが浮き彫りになったが、そこで活躍したのが村の手話サークル。ダンスの振付を手話の動きに応用し、動きが苦手な人も自然にリズムに乗れるようにしたことで、新しいチームワークが生まれた。
本番当日は、田畑を背にした簡易ステージの上で、多世代クルーが思い思いの衣装で登場。バトル形式で流れる音楽は、伝統の民謡から最新のヒップホップまで多彩だ。初めてダンスに挑戦する村人のぎこちないステップも、ベテラン勢のキレ味ある振付も、観客の手拍子と笑顔に包まれた。優勝は関係なかった。「みんなで踊った時間が何よりの宝物」と栗栖さんは嬉しそうに話す。
SNSには「桜峠の村のみんな、最高のスマイル!」「わたしの祖母がこんなに楽しんでるなんて」と感動の声が数多く寄せられた。ダンス講師の水谷友基さん(地域外)は「この取り組みには、教室以上の力がある」とコメント。今では村の朝のラジオ体操が、“桜峠式ストリートダンス”に変わりつつあるという。これからも小さな村に大きなリズムが響き合い、たくさんの笑顔が生まれそうだ。
コメント
うちの子もダンスが大好きなので、こういうイベントが地域であったら絶対に参加したいです!年齢関係なく一緒に踊れるなんて、とても素敵ですね。企画してくださった稲生先生に感謝です。
私も昔は盆踊りくらいしか踊ったことがありませんが、こんなふうに世代を超えて音楽でつながれるなんて、今の時代ならではですね。手話を取り入れている工夫にも心温まりました。桜峠の皆さんに拍手!
いやー、めっちゃ楽しそう!田んぼをバックにダンスバトルってギャップ最高じゃないですか(笑)。田舎ならではの一体感、東京でも見習いたいです。俺も帰省したら地元でやってみたい!
同じ村に住んでいたら絶対観に行ってたと思います。普段はなかなか話せないご年配の方とも、こういうイベントをきっかけに仲良くなれそうですね。みんなの笑顔が目に浮かびました。
ストリートダンスって若い人だけのものかと思ってたけど、こんなふうにみんなで楽しむのもアリなんだなぁ。うちの町でもやれたらいいのに!朝のラジオ体操がダンスになるとか、めちゃくちゃ面白い!