山並みを背に小川が流れるひまわり町で、住民同士が自分の大切なものや場所、時間さえも分かち合う「分け合い大祭」が初開催された。シェアリングエコノミーに町ぐるみでチャレンジするこの祭りは、世代や立場を超えた優しい交流の場として、多くの笑顔と温かい出会いを生み出した。
今回の企画の発起人は、町の高校に通う稲葉一真さん(17)。「大人も子どもも、何か欲しい時は隣の人に頼める町にしたい」と、クラウドファンディング・サイトで一祭り分の資金調達をしたところ、目標額の2倍となる応募が殺到した。資金をもとに町内の公民館や空き家、さらには古い納屋までが「誰でもどうぞスペース」として開放されることとなった。
祭りの目玉は、町内の主婦たちによる手作りシェアお弁当コーナー。そして、駅前ロータリーでは“シェア傘ステーション”が登場した。参加者は好きなだけ傘を持ち帰り、代わりに自宅に眠っていた傘やメッセージカードを入れる。その中には「お仕事帰りのお父さんが風邪をひきませんように」といった、さりげない優しさがつづられていた。
また、農家の鎌田新吾さん(56)は、トラクターを町のみんなで使う『カーシェアリング農機版』を提案。普段は個人で所有していた農機を、共同予約カレンダーに登録したことで、無駄が減り、収穫作業も一層効率的になったという。「家も農地も一緒に使えば、もっと自由で楽しくなる」と鎌田さん。所有権にこだわらず“信頼で繋がる経済”の手応えを語った。
町の空き店舗ではシェアオフィスが臨時オープンし、フリーランスの野々山春希さん(29)は「都会にいなくても人とつながれる。子どもやお年寄りとも自然と会話が生まれて、新しい仕事のアイデアも出てきます」と笑顔で話した。SNS上には「ユーザー同士の温かいやり取りに心が和む」「個人間取引だけでなく、気遣いとお裾分けがあふれている」といった声が集まっている。
祭りの実行委員長を務めた大学生の池谷夕凪さん(21)は、「町の当たり前だった“おすそ分け”文化が、シェアの形で生まれ変わった」と振り返る。分け合い大祭が終わった後も、町のLINEグループでは「お菓子焼きました」「井戸水どうぞ」など、共同消費の輪が日に日に広がっている。ひまわり町の実験は、小さなかばんの中の優しさが溢れ出て、経済だけでなく心にも豊かさをもたらしているようだ。
コメント
とても素敵なお祭りですね。私は2児の母ですが、こんな風に“分け合う”気持ちが地域で当たり前になると、子どもたちも安心して過ごせそうです。お弁当コーナーやシェア傘、ぜひうちの町でもやってほしい!
昔はよく隣近所で野菜やおかずを分け合ったもんじゃ。今どきの若い子が中心になってまた“おすそ分け”の輪を広げてると聞いて胸がほっこりしたよ。若い力に感謝だねえ。
これ読んで、めっちゃ感動しました!お金とかモノだけじゃなくてスペースやアイデアまでシェアできる環境、うらやましいです。うちの学校にもシェア傘ステーション作れないかな?
ちょっと変わったお祭りだなと最初は思ったけど、記事を読むうちに、こういう信頼でつながる町にこそ住みたいな~としみじみ思いました。みんなでつくる温かさ、いいですねぇ。
こういうシェアオフィスや交流の場、本当に助かるんですよね!都会を離れて不安だったけど、気軽に人とつながれる場が増えると、アイデアも生まれるし毎日が楽しくなりそう♪