マグカップ行進が町に笑顔を運ぶ “おうちカフェ”でつながる七色の朝

色とりどりのマグカップを持った町の住民たちが住宅街を歩いている様子。 おうちカフェ文化
毎週日曜日、マグカップ片手に住民たちが心温まる交流を楽しむ旧浜田町の風景。

旧浜田町の住宅街では、最近“マグカップ行進”という不思議で心温まる出来事が話題を呼んでいる。毎週日曜の朝、色とりどりのマグカップを持った町の住民たちが、家から家へとカフェの香りと優しさを届けるという。おうちカフェ文化が花開くなか、日常の中に笑顔を持ち寄る秘密のヒミツをたどった。

物語の始まりは、孫と離れて暮らす佐山砂絵子(68)が、小さなベランダで一人コーヒードリップを楽しみ、四季折々の季節スイーツを添えていた春のこと。「誰かとこの時間を分かち合いたい」と思い立ち、自作のマグカップと手作りのレシピ本を手に、隣人で高校生の有原湊人(17)の家を訪ねた。朝の静けさの中、思いがけないゲストに湊人も驚きつつほっこり。そこから、互いにドリップ体験や映えドリンク作りに挑戦する“おうちカフェ朝活”が始まった。

湊人は、推しのアイドルのカフェコラボ限定メニューを自宅で再現。祖母から受け継いだレモンケーキのレシピ本を持参する砂絵子と、世代を超えた『推し活カフェ』交流に夢中になった。すると次第に、近所のパン屋店主・澤田和人(42)や、育休中の教員・吉野悠里(35)などがドリッパーや自作マグを手に加わり、みんなでモーニングプレートを持ち寄るように。ユニークな“季節の一品”発表会も生まれ、この日のために工夫されたスイーツがSNSでも大きな反響を呼んだ。

参加者が徐々に増える中、地域の図書クラブ代表・坂口理央(56)は、読書タイムを組み込み“本とコーヒーの朗読会”を提案。大人も子どもも自分の好きなレシピ本や小説を持ち寄り、温かい飲み物と共に聞き入った。“本の匂いとコーヒーの香りが混じる朝を楽しめる町”として、町外からも「参加したい」という声がSNSで上がっている。

小さなマグカップひとつから始まった住民同士の行進は、今や毎週欠かせない町の風物詩。SNSでは「週明けの元気はマグカップ行進から」「見知らぬ人とも、不思議と会話が弾む」との投稿が相次ぎ、専門家も“心のバリアをそっと溶かす新しいコミュニティの芽生え”と注目する。ぬくもりの循環が、今この町にささやかな“魔法”をもたらしている。

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