リビングごと“おすそ分け” ご近所ぐるみの家具サブスクカフェ、青森で笑顔の連鎖

さまざまなソファや家具が集まり、地元の人々がくつろいで交流する温かなカフェの室内風景。 サブスクライフ
弘前の住宅街に誕生した「ソファ・カフェ」で住民たちが思い思いに過ごしています。

青森県弘前市の住宅街に、最近ユニークな交流スペースが誕生しました。その名も「ソファ・カフェ」。単なるカフェではなく、住民同士が家具や家電をサブスク形式で“おすそ分け”し合う、新しいシェア空間です。まるで街全体がひとつの大きなリビングルームになったような和やかさに、訪れる人々の心もほぐれています。

この「ソファ・カフェ」の扉を開くと、そこには少しずつ色も形も異なるソファやダイニングセット、読みかけの本棚、最新の空気清浄機にレコードプレーヤーまで。実はこれ、町内の各家庭が「今月は使っていないから」と預けている家具たち。利用者登録をした住民は、サブスクで好きな家具を自宅に持ち帰ったり、カフェの中で自由に使うことができます。家具一つ一つに添えられた付箋には、「息子が初めてハイハイしたソファです」「祖母が好きだった組み木のテーブル」など、持ち主からの心温まるメッセージも添えられています。

カフェの仕掛人は、開業直前に退職したばかりの柳沢珠子さん(58)。「大型家具も簡単にレンタル感覚で交換できれば、ご近所同士の会話も増える。高齢の方が大型本棚の移動を困っているときも、すぐに配送チームと手配します」と話します。家具サブスクの運営とあわせて、ボランティア有志や学生が配送・組み立て・ちょっとした修理もサポート。引っ越し時にはいらなくなった家具のリースバック(預かり)やシェアもお願いできるため、地域内で物が循環する仕組みが生まれました。

日曜日になると、カフェの大型キッチンで「持ち寄り朝ごはん会」が開かれます。パン焼きトースターは遠藤家、コーヒーメーカーは小林家、テーブルクロスは浅野家のもの。家事代行サービスもサブスクに組み込まれ、「誰かが忙しいときは、近くの人が手伝いに来てくれる」のが日常になりつつあります。最近は小学校の帰り道に、子どもたちがお気に入りの椅子を探しに立ち寄ったり、高校生が古いミシンを修理してリサイクル品をつくったり…年齢を問わず自然と交流が生まれています。

SNSでは「知らない家のソファで読書するのが不思議と落ち着く」「お互いの思い出を家具越しに分け合う感覚が優しい」「片付けが苦手だけど、気軽にリースバックして気持ちもすっきりした」などの声が多数寄せられています。サブスクライフという新しいビジネスモデルが、青森の小さな街で人の心までもあたためているのです。経済学者の新城悠生准教授(弘前大学)は「所有からシェアへの転換が進む中、地域でアイテムも思い出も共有できる仕組みが増えていくのは非常にユニーク。都市部にも広がってほしい動き」とコメントしています。家具サブスクから始まる暮らしの優しい変化、全国にも幸せの連鎖が広がりそうです。

コメント

  1. とても素敵な取り組みですね!子どもたちもいろんなおうちの思い出の家具に触れられるなんて、貴重な体験になりそう。引っ越しのときもリースバックできるのは、物が増えがちな子育て家庭にはありがたいです。全国に広まってほしい〜!

  2. 家具に付けられたひと言メッセージ、読んでいるだけで優しい気持ちになります。昔使っていたテーブルやソファが誰かの役に立って、思い出ごと受け継がれるって、素晴らしいですね。お年寄りの力仕事もみんなで助け合えるなら、安心して暮らせそうです。

  3. 友達と『どこの家の椅子かな?』って話しながら座ってみるの楽しいです!古いミシン触らせてもらったり、普段家にはないものいっぱいでワクワクしました。家具の修理もボランティアできるって新しいかも。僕も何か役に立ちたいなと思います。

  4. 最初はちょっとトラブルにならないかな?と心配してたんですが、カフェで顔を合わせて話せるから予想以上に安心してサブスク利用できてます。お家の片付けにもなるし、いろんな家具が楽しめて気分転換にも!家事代行も頼めて本当に助かってます。

  5. 転勤が多いので、こういうリースバックの仕組みめちゃくちゃ羨ましいです!使わない家具も思い切って預けられるし、地元の人と自然につながれるのがいいですね。うちの町でもぜひやってほしいなあ〜。この記事読んでほっこりしました。