町をつなぐ“奇跡のボッチャマッチ” 義足アスリートと車いす少年の出会い

体育館で車いすの少年が義足の男性アスリートとともに、笑顔でボッチャのボールを投げようとしている様子。 障がい者スポーツ
バリアフリーな体育館で多世代が一体となって楽しむボッチャ交流戦のひとコマ。

北陸地方の小さな町の体育館で、とても温かな奇跡が生まれました。バリアフリーの真新しい競技場では、義足のトップアスリートと車いすに乗った小学4年生、そして地域の人々が一体となり、スポーツと優しさで町をつなげる“ボッチャ交流戦”が開催されました。

朝一番、義足アスリートの三田村湊斗(みたむら・みなと/28)が競技場に現れると、会場にはすでに多くの子どもたちが。中でも、車いすで参加した少年・稲庭颯介(いなにわ・そうすけ/10)はこの日を1か月も前から心待ちにしていました。生まれつき脚に障がいがあり、普段は遠慮がちだった颯介も、この日はボッチャの赤玉を手に笑顔で自信をのぞかせていました。

大会開始直後、颯介の投げたボールが偶然にも三田村選手の義足にコツンと当たり、観客席からは大きな拍手と笑い声が広がりました。三田村選手は「いいショットだね!」と声をかけ、自分の義足を外して会場のみんなに触らせたり、義足の仕組みを説明したりして会話がさらに弾みました。会場には地域の高齢者から幼児まで約200人が詰めかけ、誰もが自然体で混ざり合う不思議な空気が生まれました。

交流戦は競技が進むごとに盛り上がり、なんと地元のシニアダンスクラブのおばあちゃんたちも“サポーター役”として参戦しました。車いすや補聴器、義足の有無などが一切ハンデにならず、誰もが思い思いのスタイルでボールを投げ、点を取り合います。会場には「どんな体でも、一緒にいればできることがある」というポスターも手作りで飾られ、参加者たちは自然と互いに応援の言葉をかけ合っていました。

交流戦のラストプレー、颯介の投げた白いターゲットボールがゆっくりと転がり、会場の中央でぴたりと止まりました。一瞬の静寂のあと、会場が大きな拍手と歓声に包まれます。イベント後のSNSには「今日の体育館は奇跡が集まった場所」「自分も参加してみたい」といった声が相次ぎました。三田村選手も、「スポーツが人をきっかけに変える力を改めて感じた日でした。颯介くん、また一緒に投げよう」と優しいメッセージを残しました。町を包む優しい空気が、また次のバリアフリーな未来を予感させる一日となりました。

コメント

  1. 読んでいるだけで涙が出てきました。うちの子も障がいがありますが、こんなふうにみんなが一緒になれる場所、本当に素敵ですね。三田村選手や町のみなさんの優しさに、朝から元気をもらいました。

  2. 歳を重ねるとなかなかみんなと混ざる機会が減るけど、こうやって子どもや若い方と自然にスポーツできたらええもんじゃ。昔は考えられなかったなぁ。次こそはワシも応援だけじゃなくて、一球投げに行きたいもんじゃ。

  3. こういうニュース、もっとテレビでも流してほしい!私も色々悩むことがあるけれど、誰かの優しさや頑張りが、周りを幸せにするんだなって改めて思いました。今度、友だち誘ってボッチャ体験してみます☺️

  4. 普段、体育館の前を通っているけど、こんな素敵なイベントがあったなんて知りませんでした。障がいや年齢関係なくみんなが一緒に楽しんでる光景、想像しただけでうれしくなります。こういう町で良かった!

  5. 心がほわっと温かくなりました。ハンデがハンデじゃなくなる優しい空間、素敵ですね。こんな一日が、もっといろんな場所でも生まれますように!