静岡県東部の三つの町をつなぐ旧街道に、突如現れた全長7kmの色鮮やかな傘のアーチが、今SNSや地域で大きな話題を呼んでいる。「虹の道」と名付けられたこのプロジェクトは、人々の背景や年齢、体の違いを越え、地域の誰もが歩み寄るきっかけとなっている。
発端は、車いす生活を送る中学生の香取昴(14)が、段差一つで行き来が難しい町の現状を学校のアイデアコンテストで訴えたことから。そこに賛同した自治会長の鈴木誠也(56)、新しく町に引っ越してきたベトナム出身のグエン・アイン・トゥアンさん(32)、そして地元の保育士や高齢者グループが「カラフルな傘を吊るす」ユニークな案で意気投合。子どもたちが自由にデザインした柄物や、外国の言葉で「こんにちは」と描かれた傘、目や手で触れて楽しめる点字やフェルト細工の傘まで、多様性を象徴する700本が空に踊ることとなった。
「車いすを押しても濡れず、下を向きがちな雨の日も自然と顔が上がる虹の道にしたい」。発案者の香取はこう語る。この道では天候や身体的な条件に関わらず、だれもが自分のペースで移動できるように、途中には手すりや音で歩行をサポートするビーコンが設置されている。積極的にハラスメント防止や声掛け運動にも取り組み、歩く人同士の交流が自然に生まれている。
SNSでは「母国語のあいさつを見つけて思わず涙が出た」「知らない町の人が手を振ってくれる」「傘の下で悩みごとを話し合ったら元気が出た」など、多様な立場の人々から温かい投稿が。専門家の谷本明子(ダイバーシティ研究者)は「新しい文化や価値観を持ち込んだ人が、古くからの住民と自然に混じり合える場ができている。心理的なバリアフリーも同時に進んでいる好事例」と評価する。
また、「虹の道」には週末限定で、町ごとの特産おやつや各国の家庭料理が振る舞われる屋台も出現。地元の高校生がガイド役を務めたり、手話や点字教室がアーチの下で開かれたりと、多世代・多国籍のコミュニティ活動が新たにつながり始めている。今後は他県からも傘のデザイン募集や交流ツアーが予定されており、町では「こんな虹が全国に広がれば」という声も自然と高まっている。
コメント
子どもたちがデザインした傘が空を彩るなんて素敵すぎます!雨の日は送り迎えが大変だけど、こんな虹の道なら息子も喜んで歩いてくれそう。町のみなさんの優しさに感動しました。
すごい!こういうプロジェクトに僕も参加してみたいです。自分の地元にも、多様性や思いやりが自然とあふれる場所ができたらいいな。実際に歩いてみたい!
年をとるとお出かけが億劫になるんだけど、虹の道みたいな明るい場所があればまたたくさん歩きたくなりますね。みんなが声をかけ合う光景、昔のお祭りみたいで心があたたかくなりました。
最近うちの町も暗いニュース多かったから、こんな明るい話題が広がって本当にうれしいです。新しく引っ越してきた人たちも、地元の人と自然に溶け込めるって理想ですよね。
母国語のあいさつが傘に書いてあるなんて、すごくうれしいです。知らない土地でこうして迎えてもらえると安心します。ありがとう、日本の皆さん。