「チームスマイル」結成――落ち葉が織りなすサステナブルウェアで全国大会準優勝

秋晴れの陸上トラックで、落ち葉素材のカラフルなユニフォームを着て並ぶ4人の高校生ランナーが笑顔を見せている様子。 サステナブルスポーツウェア
落ち葉で作られたサステナブルなユニフォームを着たチームスマイルの4人が、仲間と共にスタートラインに立つ。

秋晴れの空の下、全国スポーツ大会の陸上トラックが、不思議な笑顔と優しさに包まれた。ユニフォームがひときわ異彩を放つ短距離リレーの4人――彼らこそ「チームスマイル」。なんとウェアは、公園や学校の落ち葉を再利用したサステナブル素材で手作りされたものだった。

きっかけは千葉県に住む高校生ランナー、桐原七海(17)が見た一枚の落ち葉だった。まだ湿り気のあるオレンジ色の葉を見て、「この葉でみんなが元気になれるウェアを作れないかな」と思い立った。七海は、同じく環境問題に関心があった幼なじみの水谷透斗(17)や、ものづくりが得意な生徒会長の小野寺希望(18)、転校生の梁井コータロー(16)と共に“ゼロウェイスト”を目指すスポーツウェア作りに挑戦。集めた落ち葉を、特製の環境配慮型樹脂でコーティングしながら一枚一枚繋ぎ合わせて、シームレスな一枚生地に仕上げていった。

服作りの過程も“クリーンエネルギー”へのこだわりが。地元小学校の理科クラブが協力し、自転車発電機で必要な電力をまかない、裁縫や加工も近隣の高齢者たちの手仕事を取り入れる『地域ぐるみものづくり』と広がった。初めて袖を通した時のことについて、希望は「落ち葉の手触りがすごくやさしくて、空気まであったかく感じた」と顔をほころばせる。

迎えた本番、会場には色とりどりの“葉っぱユニフォーム”に注目が集まった。レースが始まると、チームスマイルの走るラインに落ち葉の自然な芳香がふわりと漂い、全観客を包んだ。わずか0.02秒差で悔しい準優勝だったものの、「楽しそうな表情が忘れられない」「自然と一緒に走っているみたい」と、SNSにも多数のあたたかいコメントが寄せられた。

専門家の東雲由紀子教授(エシカルファッション研究)は、「落ち葉という廃材をウェアに変え、ゼロウェイストを実現する発想は世界的にも画期的。何より多世代・地域のコラボが心温まる」と称賛。大会終了後、チームスマイルの取り組みは全国の学校やスポーツ団体に広まり始めている。七海は「落ち葉も私たちも、誰1人無駄にはならないってこと、伝わってほしい」とはにかみながら語った。

次回の大会には、どんなサステナブルなアイディアが生まれるのだろう。“優しさ”で織りなすウェアと笑顔のバトンは、これからもきっと多くの人の心に受け継がれてゆく。

コメント

  1. 子育て中の母です。子どもが学校で環境学習しているので、こういう取り組みが本当に嬉しいです。うちの子も『落ち葉で何か作りたい!』って目を輝かせていました。心があたたかくなる素敵な記事をありがとうございました。

  2. ご近所としてお手伝いしたおばあちゃんやおじいちゃんたちも誇らしいでしょうなあ。昔は田舎で物を大切にしていた身として、こういう地域のつながりがまた生まれるのは本当に嬉しい。準優勝もお見事ですが、それ以上の宝物を手にしましたね。

  3. 高校生の皆さんの発想力すごいです!私もSDGsに関心があるので、これ読んで勇気もらいました。アイディアも技術も、何よりメンバーや周囲の人の優しさが詰まっていて、本当に素敵です。

  4. 大会の会場でふわっと落ち葉の香りが広がるなんて、想像しただけで幸せな気持ちになります。普段の生活でも、自然のものをもっと生かせたらいいなと感じました。話題づくりのためだけじゃなく、本当に人の優しさが伝わってきてほっこりしました。

  5. なんかドラマみたいで、読んでてニヤけちゃった(笑)。エコとか地域で協力とか、最近難しく考えがちだけど、こんなふうに楽しんで挑戦できるのって最高じゃん!来年は優勝いける!応援してます!