朝日の差し込む未来川の水辺。澄んだ空気の中、キャンピングカーが静かに並び、アウトドア好きたちが集まった。だが、このキャンプ場の主役は人間だけではない。今年から始まった“朝ごはん交換会”は、野鳥たちと人が一緒に朝食を楽しむという新しいアウトドア体験だ。シェラカップを手にした参加者と、羽を震わせて飛んでくる野鳥たち。小さな奇跡の朝が、ここから広がっている。
このイベントの仕掛け人は、アウトドア愛好家の高嶋朔太郎さん(42)と小学生の娘・朝日(10)。「野鳥と身近にふれあえれば、子どもたちの自然を想う気持ちも深まるはず」と、親子で思案した企画だ。当日、参加者は各自お気に入りのキャンプ飯をシェラカップに用意し、直径1メートルほどの円を作って腰を下ろす。円の中心には、無農薬雑穀やヒマワリの種、小さなパンくずがそっと並ぶ。朝日さんが合図の笛を吹くと、カワセミやヤマガラ、ジョウビタキなど色とりどりの野鳥が一斉に舞い降りてきた。
途中、小型のポータブル電源から流れる優しいメロディが、会場をさらに和やかに包み込む。自然の音に溶けるような音楽に、子どもも大人も、そして野鳥たちまでもがリラックスする様子が見られた。トレイルランニングに来ていた地元の中学生・柴崎渉(14)も「ラン後の休憩に偶然立ち寄ったけど、小さな鳥が手元まで来てくれてびっくり。まるで童話の世界に迷い込んだみたい」と目を輝かせる。
アウトドアチェアに身を預けて朝食を食べながら、参加者たちは静かに目の前の命の営みに耳を傾ける。SNSでは『#未来川の朝ごはん』『#シェラカップ野鳥会』がトレンド入り。「毎日の悩みが小さく感じる」「鳥の小さな勇気に人も背中を押される」との声が寄せられている。高嶋さん親子の工夫で、食べ物は野鳥にとって安全なものを厳選、食事後はゴミ一つ残さず片付けるなど、自然への配慮も徹底されている。
環境学者の工藤芙美子氏(54)は「人と野生動物が互いの生活リズムを尊重しながら触れ合う試みは珍しい。未来川で育った子どもたちには、きっと大人になっても自然と共生する心が育つはず」と語る。次回は春の開催を予定しており、さらに多くの笑顔が水辺に集まることだろう。遠く野鳥のさえずりと、子どもたちの笑い声が響く朝——。ここには、自然と人の新しい絆が確かに生まれている。
コメント
子育て中の母親として、とっても素敵なイベントだと思います!小さい頃から自然と仲良くできる機会なんて、なかなか無いですよね。娘も連れて、次回はぜひ参加したいです。
こういうニュースを読むと、若い頃に川沿いで野鳥を眺めていた思い出が蘇ります。私も孫と一緒に参加してみたいですね。自然と共に食事を楽しむ時間、大切にしたいです。
キャンプ大好きな学生です!未来川の朝ごはん交換会、めっちゃ面白そう〜!写真も絶対かわいいはず。うちの大学の友達も興味ありそうなので、SNSでシェアしちゃいます♪
ついに未来川でもこんなイベント始まったのか~。近所に住んでるけど、最近は野鳥のさえずりも前より増えた気がするし、こうした活動が地域の雰囲気をほんわかさせてくれるのが嬉しいです!
なんて優しい世界…!朝ごはんを野鳥と“交換”だなんて、想像しただけでハッピーな気持ちになります。人も鳥もリラックスできる空間が未来川にあるなんて、うらやましいです。