朝日の歌声からはじまる奇跡―町ぐるみの“ハミング・モーニング”大旋風

早朝の川沿いで朝日を見つめながらハミングする地元の人々が穏やかに並ぶ様子。 モーニングルーティン
町の朝を優しく彩る“ハミング・モーニング”の一場面。

山間の青空が薄紅色に染まり出すころ、小鳥のさえずりにまじって、どこからともなくハミングが響き出す。それは町の一日の始まりを告げる、歌うような朝のルーティン。岐阜県中津川町に伝わる“ハミング・モーニング”が、地元の人々だけでなく、たまたま立ち寄った旅人やSNSでも大きな話題となっている。

この習慣のきっかけは、早朝のランニングを日課にしていた高橋恭平さん(35)。数年前、まだコロナ禍で人と距離をとらなければならなかった日々、気分転換にと始めた“朝日を見ながら鼻歌を歌う”という行為が、川沿いの土手で偶然居合わせたヨガ好きの主婦・久米川沙織さん(41)に伝わった。「朝の小さな音楽が心に優しい響きをくれる」と感じた二人は、毎朝、ハミングと一緒に太陽を迎えることを約束。その様子が散歩中の中学生や、ラジオ体操に集まる地域のお年寄りの間で「聴くと幸せになれる朝の歌」として口コミで拡がっていった。

やがて町のベーカリー店主・三浦拓人さん(29)や、保育園児のグループまでが参加するようになり、いつからか、各家庭の窓辺や公園、町道沿いで、それぞれが思い思いのメロディをハミングしあう“ハミング・モーニング”が日常になった。三浦さんは「焼き立てパンを並べながら小さく歌うことで、心もふっくらする。お客さんも自然に微笑んでくださって、朝の活力です」と目を細める。

なんと最近では、ハミングのリズムにあわせてラジオ体操をするグループや、“自家製スムージー”の作り方を耳に挟みながら美顔ローラーで顔をマッサージする住民の姿も見られるという。約130人の有志が“朝日ランニング部”をつくり、皆で明るい声を響かせながら日の出を目指して走る光景も人気だ。地域住民の山下智子さん(64)は「どんなに気が重い日でも、とりあえずハミングすると、みんなが一緒に前を向いている感じがする。お弁当におかずを詰めるときも、つい口ずさみます」と語る。

このささやかな優しさの輪は、今や町外から参加する人も増加。SNSには『旅先でたまたま聴いたハミングの朝、涙が出るほど心があったかかった』『知らない同士でも歌でつながるのが不思議』といったコメントが相次ぎ、全国の地域活性化協議会からも“朝の幸せ運動”として問い合わせが寄せられている。

一日の始まりに、自分のリズムで声を出す。決して上手でなくても、それが誰かの背中をあたたかく押す。中津川町の“ハミング・モーニング”は、今日も新しい一日の扉を、優しく、大きく開き続けている。

コメント

  1. 子どもたちと毎朝バタバタしているので、ハミングしながら家事できたら気持ちが軽くなりそうです!保育園児も参加してるのが素敵ですね。うちの子にも真似させたいです♪

  2. 昔は町内をラジオ体操の音楽が流れてたもんだが、今はみなさんがハミングするなんて時代は変わったねぇ。朝から優しい音に包まれる町…想像しただけであったかい気持ちになりますな。

  3. SNSで見かけて気になってました!なんだかジブリの世界みたいで憧れます。毎朝ちょっと元気になれる町、いつか参加してみたいです。

  4. 実は近所に住んでいます。最初は恥ずかしかったけど、今では朝ハミングしないと何か物足りないくらい。このニュースで全国の人にも知ってもらえて、なんだか誇らしい気分です!

  5. 朝の顔マッサージ、ハミングしながらやったら本当に一日ハッピーに始められそう。小さなことでも自分や周りを笑顔にできるって素敵!全国にも広がってほしい活動です。