柔道キッズとご長寿達人が奇跡のタッグ!“ほほえみ組手”大会で世代超えた熱闘

柔道着を着た高齢の男性が、楽しそうな表情で少年を肩車し、畳の上で周囲の人々が拍手している様子。 武道・格闘技
世代を越えて肩車で笑顔を見せるペアの姿が、会場全体を温かい雰囲気で包みました。

世代も立場も異なる人々が、武道の畳の上で心温まる交流を見せた。「ほほえみ組手大会」と題された特別イベントが首都圏の県立武道館で開催され、パラ柔道キッズと最高齢百寿柔道家たちのペアによる“絆の対決”が全国に小さな感動の渦を巻き起こしている。

この大会は、異世代の交流と多様性の尊重を目指し、市民団体『つなぐまごころ実行委員会』が初めて企画したもの。参加者たちは、11歳のパラ柔道選手・立原光(たちはら・ひかる)君と、102歳の現役有段者・大杉樹(おおすぎ・いつき)さんペアをはじめ、さまざまな世代・背景を持つペアでエントリー。試合は“投げ技・押し出し禁止、心で受けとめる組手”という、誰もが安全に楽しめる独自のルールで行われた。

中でも観客の心を最も揺さぶったのは、SNS総登録者80万人超のYouTuber格闘家・橘セイラさん(23)が、視覚障害をもつパラ柔道少女・見城うららさん(13)のガイド役として出場したシーン。組手中、うららさんがやや戸惑いを見せると、セイラさんは握る手をそっと包み直し、そのまま両者で互いに深くお辞儀。やがてゆっくりと背中をトントンと叩きあい、最後は思わず何度もハグし合って畳から退場した。この様子はライブ配信で1万以上の応援コメントを集め、「勝ち負けじゃない。思いやりって泣ける」「世界一あたたかい組手」と多くの人がほほえんだ。

さらに話題となったのは、“伝説のK-1闘士”と呼ばれた篠崎権蔵さん(94)と、総合格闘技技術を持つ大学生・海老澤陸斗さん(20)のチャレンジ組。武器禁止はもちろんのこと、篠崎さんは試合開始直前に学生の帯をさりげなく締め直し、「礼に始まり礼に終わるぞ」と微笑んだ。その後、戦いというより連携技のレクチャー大会の様相に。「一番歳の離れた戦友だ」と両者笑顔で語り合う姿は観客席にもじんわり伝わったという。

当日行われたアンケートには、「相手を倒す格闘技が、相手を思いやる瞬間にあふれていた」「子どもも高齢者も、障害も垣根じゃないと勇気をもらった」など、温かな声が多数寄せられている。大会終了後には参加者全員で記念写真を撮影。そのうちの一枚、“102歳のご長寿達人に肩車された11歳のパラ柔道少年”の写真は、今や県内ニュースサイトのバナーに。『つなぐまごころ実行委員会』の代表・田村貴志さん(48)は「来年はさらに多様な競技者を招き、もっと笑顔の輪を広げたい」と語っていた。武道の畳を通じて、小さな勇気と優しさが着実に広がっている。

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