韓流好きなおばあちゃんがK-POPデビュー 町の音楽祭で生まれた“奇跡のユニット”

カラフルな衣装を着た高齢女性と多世代のメンバーが屋外ステージでダンスを披露し、観客が笑顔で応援している様子。 韓国ドラマ・K-POP
地域の音楽祭で多世代K-POPユニット「レインボーハート」が観客と一体となり踊る感動の一幕。

「もう一度だけ、青春時代のドキドキを味わってみたかったんです」――そう語るのは、韓流ドラマとK-POPの音楽番組を毎週楽しみにしている77歳の高橋花江さん。彼女の願いが、ひょんなことから地域の音楽祭で実現し、SNSを中心に心温まる話題として広がっています。

花江さんが暮らす岡崎町の商店街は、毎年秋に地元住民による音楽祭を開催してきました。ある日、この音楽祭の実行委員を務める主婦・三好春奈さん(42)が、花江さん宅に手作りキムチを届けた際、玄関先で花江さんが韓国ドラマのOSTにあわせて小さくダンスを踊っているのに気づきました。「その動き、すごくキュートですね!音楽祭でダンス披露してみませんか?」と春奈さんが声をかけると、最初は恥ずかしがっていた花江さんも、「町のみんなが助けてくれるなら…」と少しずつ心を開いていきました。

さらに、「どうせなら本格的にやってみたい!」という花江さんの夢に共鳴したのは、地元の高校でダンス部に所属する男子生徒・川嶋俊介さん(16)。「韓流が好きという共通点だけで、77歳と16歳が一緒に踊れるなんて信じられない」と最初は戸惑いもありましたが、花江さんの一生懸命な練習姿に「自分も後悔のないステージにしたい」とやる気をもらいました。二人は春奈さんに加えて、町内の小学生姉妹やお好み焼き屋の若主人なども巻き込み、町オリジナルの多世代K-POPユニット「レインボーハート」を結成。音楽番組さながらのカラフルな衣装や、手作りのキラキラ応援ボードも用意されました。

迎えた本番、レインボーハートのステージには300人以上の観客と生配信を見守るファンが。曲は、韓国ドラマでよく流れる名バラード「春の風」をアレンジした特別バージョンです。曲のサビでは、花江さんが会場全員に手話ダンスを呼びかけ、観客みんなが一緒になって振りをまねしました。涙ぐむ人、思わず立ち上がって踊り出す子どもたち、商店街も音楽と笑顔の輪でいっぱいに。終演後は、みんなで小さな打ち上げ。花江さんは「一緒に踊ってくれる“孫たち”と最高の青春でした」とにっこり語りました。

このユニットの活躍は、偶然町を訪れていた地方ラジオ局のパーソナリティ・原郷里子さん(35)によって番組でも紹介され、日本全国に“ほっこり旋風”が拡大中です。X(旧Twitter)には『うちの町でもおばあちゃんユニット作りたい』『親子でK-POPやってみたくなった!』との声が続々と。地域の垣根や世代の壁をとびこえる勇気が、韓流と町の人情で生まれました。専門家の村井史朗さん(音楽評論家)は「音楽と踊りは世代も国籍も超えられることを、レインボーハートが見事に証明しました」とコメント。町の小さな奇跡が、日本中の“誰かの夢”につながっていく――そんな希望の物語となりました。

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