山小屋を包む「コンパスの奇跡」——山岳地帯で生まれた小さな大冒険

山小屋の中で、登山者たちが暖炉のそばで登山靴を乾かしながら、古びたコンパスを囲んで微笑み合っている様子。 登山・アウトドアスポーツ
コンパスが導いた絆で山小屋の夜は温かな歓声に包まれた。

北アルプスの紅葉が色づき始めた週末、静かな山岳地帯で一風変わった『コンパスフェスティバル』が開かれた。山好き・アウトドア好き42人が山小屋で2泊し、見知らぬ人たちとささやかな奇跡を分かち合ったという。

参加者の中心人物は、東京で会社員をしている嶋田渉(35)。幼い頃、祖父から譲り受けた年代物のコンパスを何となくザックに入れて登山に参加したことが物語の始まりだった。当日、慣れないバックカントリーコースで道に迷いかけた一行にとって、その古びたコンパスだけが唯一の頼り。道標が風で飛んだ山道で、嶋田のコンパスが皆を正しいルートに導いたのだ。

山小屋にたどり着いた夜、参加者の椿原詩乃(27)は「渉さんのコンパスに命を救われたような気がします」と笑いつつ、かつてなく深い安心感を味わったという。山小屋の管理人、根岸靖(54)は「長いことここで働いてるが、あんなに嬉しそうな山小屋の夜ははじめてだったよ」と目尻を下げた。皆、濡れた登山靴を乾かし合いながら、初対面なのにすっかり打ち解けていったという。

その夜、持参したアウトドアウェアで即席のファッションショーが開かれたり、持ち寄ったモルックで試合が勃発したりと、次第にフェスティバルのような賑わいに。Twitterでも「#山コンパス奇跡」がトレンド入りし、参加者たちは笑顔の自撮りとエピソードを投稿した。なかには『一生の友達ができました』『山小屋泊で人生観が変わった!』という声も多数寄せられた。

翌朝、嶋田が見せたコンパスには小さな傷が増えていたが、参加者たちから寄せ書きが彫られ、世界に一つしかない“しあわせのお守り”になった。専門家の宮城岳(アウトドア研究家、43)は「アウトドアスポーツは競うこと以上に、人と人を近づける“きっかけ”になります。登山道を一緒に歩き、困難を分かち合う中で生まれる絆は、ことばでは説明できない温かさがある」と話す。

参加者たちはそれぞれの登山靴に秋の落ち葉を挟みながら、心に新しい出会いと思い出を詰め、下山していった。山頂で誓い合った『来年も、この山小屋で集合』の約束に、SNSでは「また来年、あのコンパスの元で!」とメッセージが飛び交っている。山を愛する人々の小さな奇跡が、また新しい物語を紡ごうとしている。

コメント

  1. 子どもが大きくなったら、こんな山小屋体験を一緒にしてみたいです。参加者同士で助け合ったり、楽しい時間を過ごせたこと、本当に素敵だと思います。嶋田さんのコンパスが“しあわせのお守り”になるお話、大好きです!

  2. 私も昔はよく地図とコンパスで山を歩いたものです。最近はスマホばかりになりましたが、古い道具の確かな力を思い出しました。若い方々がこうして絆を深める姿に、心が温まりました。

  3. フェスとか山小屋とか未知の世界だけど、読んでてワクワクしました!仲間とモルックやファッションショーとか、非日常感が楽しそう。自分も一度でいいから参加して、一生モノの出会いしてみたいです。

  4. この山小屋、知ってる場所かも!あんな素敵なイベントがあったなんて、地元民としてちょっぴり誇らしい気分です。困難なときこそ助け合えるって、やっぱり最高ですね。

  5. なんか読んでるだけでほっこり…。見知らぬ人同士が心を通わせていく様子が本当に素敵です!来年もぜひ「奇跡のコンパス」が新しい思い出を連れてきてくれますように。