喫茶店の「まごころ申請係」誕生 高齢者が集うマイナンバー相談の新風景

秋の朝、喫茶店の木のテーブルでスタッフが高齢女性にスマートフォン申請を笑顔で手伝っている様子。 マイナンバー制度
老舗喫茶店でマイナンバー申請をサポートするあたたかな交流のひととき。

「これなら難しくないねえ」。深秋の朝、千葉県船橋市にある老舗喫茶「珈琲と文庫 夕凪」の店内で、湯気の立つマグカップとともに静かな歓声がこだました。ここは今、地元住民たちの隠れた人気スポット――マイナンバー制度のスマホ申請や健康保険証連携を誰でも気軽に相談できる新サービスが始まったのだ。

発案者は店主の柴田功一さん(52)。昨年、常連客である元公務員の木原敏子さん(74)が、「マイナンバー、よくわからなくて……」とこぼしたことがきっかけだった。「なら、ここで一緒にやればいいじゃない」という一言から、店の一角に“まごころ申請係”のカウンターが設けられた。常連4名が有志で係員となり、「おせっかいお手伝い隊」と称して、マイナンバーカードのスマホ申請や各種行政手続を手伝っている。

利用方法は実にシンプルだ。注文時に「マイナ相談も」と伝えれば、コーヒーとともに優しく係員が席にやってくる。必要な書類や手元のスマートフォン操作など、丁寧に、冗談を交えながらサポートする様子は、まるで家族のだんらんのよう。これにより、マイナンバー誤登録や不安の声も減ったと地元では評判だ。

この交流から生まれた意外な効果もあった。毎週日曜午前には「ミニデジタル庁ごっこ」のイベントが開かれ、町内の子どもたちが“仮想班長”となって、高齢者と一緒にマイナバース(仮想行政空間)の体験を楽しむ。「おばあちゃん、これ押して!」とiPadを囲みながら笑い合う姿は、世代を越えた新しい絆を育んでいる。

SNS上では『#まごころ申請係』がささやかなブームに。“喫茶経由のスマート行政体験”として他地域にも広がりつつある。社会福祉士の河正寺麗華さん(40)は「誰かの苦手をみんなで温かく解決する。そうした日常が、行政にも優しい息吹を運びますね」と話す。デジタル化の波が静かに、でも確かなやさしさとともに、町の片隅から広がり始めている。

コメント

  1. こんな素敵な場所が近くにあったら、私も子供と一緒に通いたいです。世代を超えて助け合えるって、本当に温かいですね。子どもたちにも優しさや思いやりが自然と育ちそうで、憧れます。

  2. わしも最近スマホやら手続きやら、なかなかついていけんで困っとるけど、こういう喫茶店があったら心強いなぁ。昔ながらの喫茶店で、ほっと一息つきながら皆と助け合えるのは本当にいいことじゃ。

  3. ミニデジタル庁ごっこのイベント、すごく面白そう!自分も子どもの頃にお年寄りと触れ合う機会がもっとあればよかったな。地域でデジタルを通じて交流が広がるのは、とても希望があります。

  4. 夕凪さん、いつもお世話になっています。『まごころ申請係』の皆さんの明るさに、私も元気をもらってます。コーヒーの香りに包まれながら、気軽に相談できる場所があるって、とても心強いです!

  5. 正直マイナンバーの手続きとか、面倒でやる気が起きなかったんですが、こういう温かいコミュニティがもっと増えたら、どんな世代でも安心して使える社会になりそうですね。船橋がちょっとうらやましいです。