森の動物と人びとが共創した“リーフ図書館” 市民100人の葉っぱが本棚に変身

森の中に木の枝と葉っぱでできた本棚が並び、子どもや大人、リスやフクロウが集う図書館の様子。 サステナビリティ探訪
人と動物が集い、葉っぱの本棚を楽しむリーフ図書館の一場面。

大陸北部のエーデルヴァルト町に、葉っぱでできた図書館が誕生した。そこに集まるのは本好きだけではない。リスやフクロウ、そして子どもたち。森の命と人びとが共に紡いだ、不思議で心温まる新名所が誕生し、地域に優しさの風が吹き込んでいる。

この“リーフ図書館”は、環境保全活動家の狩野カエデさん(42)と、地元の小学6年生だった宮本みどりさん(12)が発案した「木と人、どちらも主役」のサステナビリティ・プロジェクトから生まれた。きっかけは町の古木・ルカスオークの下で開かれた読書会で、動物たちが落ち葉の間で遊んでいる様子を見たみどりさんが「森のみんなとも一緒に楽しめる図書館があったら」とつぶやいたことだった。

賛同した町民や地元高校の生徒たち、さらにバイオマスプラスチック製品の職人・香月アキラさん(36)が協力し、落ち葉・枝・バイオマスプラスチックを組み合わせた“呼吸する本棚”を開発。各家庭から寄せられたきれいな葉っぱは、紫外線で殺菌したのち樹脂でコーティングされ、大小さまざまな本棚に組み込まれた。棚ごとに誰の葉っぱが使われたかを記した札がつき、見学に訪れた家族が自分の“葉本棚”を見つけては大喜びする姿がしばしば見られる。

図書館の天井には枝で編んだカーテンが吊るされ、フクロウや小鳥たちが自由に出入りできる仕掛けも。町在住の詩人・高原アサヒさん(59)は「本棚から時折どんぐりが転げ落ちるんです。リスたちの“おすそ分け”、きっと読書のご褒美ですね」と笑う。実際、多くの動物たちが利用を歓迎しているそうで、週末には“森の朗読会”として、子どもと動物が交互に詩を詠み合う光景も好評だ。

地球温暖化が進む昨今、エーデルヴァルト町は町ぐるみで自然共生や脱プラスチックの取り組みを進めてきた。町役場広報の寿美礼司さん(44)は「このリーフ図書館が町民一人ひとりの“自分ごと意識”につながっています。次世代へ森と知恵を受け継ぐ役目も大きい」と語る。

SNSでも『#森とわたしの本棚』投稿が拡散。『自分の葉っぱを動物たちとシェアできるのが嬉しい』『図書館に行くのが楽しみになった』など、地域外から訪れる人も増加した。暖かな森の香りに包まれながら、今年の秋もまた“リーフ図書館”は、人と自然をつなぐ物語の舞台となりそうだ。

コメント

  1. 小学2年の息子と週末に遊びに行きました!自分が持っていった葉っぱが図書館の一部になっているのを見つけて、大はしゃぎ(笑) 動物たちとも一緒に本を楽しめるなんて、とっても素敵な経験でした。子どもも「また行きたい!」と言っています。

  2. 昔はもっと身近に自然があったなあと懐かしい気持ちになりました。葉っぱや枝でできた図書館、温もりが伝わってきます。ぜひ一度、孫と一緒に足を運んでみたいです。

  3. エコで可愛いし、アイデアが本当に面白い!うちの高校でもこういうプロジェクトやったらいいのに…動物と本が混ざる空間、めちゃくちゃ癒されそうです。写真もインスタ映えするし、行ってみたい!

  4. 家から歩いて10分の所なので、朝の散歩がてら時々立ち寄っています。森の匂いや小鳥の声に囲まれて、本を読む時間がとても幸せです。町にこんな場所ができて、本当にありがたいです。

  5. 「人間も動物も一緒に使える図書館」って発想があったかすぎて最高です!自分の葉っぱで棚作るって、地元への愛着も湧きそう。こういうサステナビリティの形、どんどん広まってほしいな。