カラフル市場に魔法が宿る?“ちょっとびっくり商店街”の幸せ循環経済

カラフルな商店街で、店主が幸せのメモ付きマグカップを若い客に手渡している様子。 消費者マインド・トレンド消費
奇跡が生まれる“ちょっとびっくり商店街”の温かなひととき。

高原町の旧駅前通りに、近ごろ「魔法みたい」と噂される活気が戻っている。各店舗が繋がって生み出す小さな“奇跡”が話題の「ちょっとびっくり商店街」では、地域住民と観光客の笑顔が絶えない。その背景には、モノやサービスの枠を超えた“幸せの循環”という新しい消費トレンドが広がっていた。

この商店街にある古着と雑貨のシャルル商店では、店主の水島ノブエ(52)が“セカンドハンドの魔女”と呼ばれている。理由は、持ち込まれた品々に、不思議な“幸せのメモ”を添えて再販売する特製サービスだ。「たとえば、昔使われていたマグカップに持ち主の“思い出一行メモ”を添えると、不思議と次の人の顔がほころぶんです」と水島さんは話す。最近では、受け継がれた“幸せメモ”に感動した人が新たなメモを追加してバトンをつなぐ光景も。まるでモノと感情が一緒に巡る小さなストーリー作りが、常連や観光客のあいだで流行している。

一方、商店街の中央広場には、週末限定で“ウェルビーイング・サブスク屋台”なるユニークな屋台村が出現。屋台では、1カ月定額で複数の農家グループが地元野菜や余剰フルーツを使ったデザート、サラダ、スープなどを自由に楽しめる。発起人の葛西タクミ(31・農業従事者)は「余った食材で作るからこそ、フードロス削減にもなるし、会員みんなが『今日はどんな出会いかな?』とワクワクしてくれるんです」と語る。屋台の周囲にはシュールでポップな映えスポットも点在し、SNSに「今週のサブスク発見!」と投稿する若者も増えている。

また、商店街の企画で始まった“循環コイン”は、使い切り型のオリジナルトークン。誰かの“おすそ分け”を受けた人が、その分を次の店や誰かのサポートに回す仕組みだ。美容室の野口トシヒコ(44)は「お客さんの小さな親切1つ1つにコインでありがとうを返す流れが、予想以上に人情を呼んでいます。最近は見知らぬ人同士の挨拶も増えました」と語る。

今や商店街には町外からも多くの人が訪れ、“魔法が宿る市場”とSNSで話題に。地域経済の活性化だけでなく、訪れる人の心をも満たすこの幸せ循環経済について、消費文化研究者の宇野イサム(54)は「物の“来歴”を大事にする消費や体験が、人と人を強く絆ぐ時代になってきたと思う。価値の交換が”物”に限らず、思い出や親切という目に見えないものまで循環しはじめている」と指摘している。商店街にふわりと流れる新しい風は、“消費”をきっかけに誰かを少し幸せにする、やさしい社会の証しなのかもしれない。

コメント

  1. 子どもと一緒に読んで、思わずほっこりしちゃいました。セカンドハンドの魔女さんの“幸せメモ”、とても素敵なアイデアですね!おもちゃや絵本にも、こうやって思い出が巡ったらきっと大切にしたくなります。今度家族みんなで“びっくり商店街”に遊びに行ってみたいです。

  2. 若い頃、街の商店街の賑わいをよく知っているので、こういった取り組みに胸が熱くなりました。みなさんの思いやりが、昭和の良き時代を思い出させますね。今の若者たちにも、この人の温かさが伝わってほしいと願っています。

  3. 最初は“循環コイン”って何だろう?って思ったけど、記事を読んで納得!めっちゃエモい仕組みで好きです。SNSにも投稿してみたいし、週末のサブスク屋台も気になる〜。友達誘って行ってみようかな!

  4. うちから歩いて数分のところなのに、こんなに素敵なイベントがあったなんて知りませんでした!普段は買い物に行くだけでしたが、次はもっとゆっくり町を歩いてみようと思います。みんなの笑顔が集まる場所、お互い助け合える町ってやっぱりいいですね。

  5. こういう“やさしい経済”って、これからの社会にはめちゃくちゃ大事だと思う。人とのちょっとしたつながりや、知らない人への親切が循環するって最高じゃん。うちの大学のイベントとかにも取り入れられたら面白そう!