静岡県内の山あいに広がる藤原町で、住民たちが自作のアバターを使い、町内限定のVTuberコラボ配信を開催する“ご近所ライブ”が話題を呼んでいる。普段は画面越しの配信者と視聴者が、アバターを通じて本当のご近所として繋がる一夜となり、町には予想外の笑顔が溢れた。
発端は、町の電器店店主・御手洗裕太(42)が「世界で一番小さなVTuberフェスをやろう」と掲げた提案だった。裕太は独学でLive2Dの使い方を覚え、店先に集まる常連や小学生たちにアバターの作り方を教えた。その輪は広がり、老舗和菓子屋の店主や中学生、八百屋のおばあちゃんまで巻き込むことに。配信をサポートしたのは、かつてプロのVTuberとして活動していた新人移住者・花咲野めい(22)。めいは「個人VTuber時代、いつか地域の人とコラボしてみたかったんです」と目を輝かせる。
お祭り当日、参加者は思い思いのアバターで次々に登場。名物のイチゴ大福をキャラクター化した“ふじ大福ちゃん”や、伝説の狸に扮した“ぽんぽこ三郎”など、見慣れた町の風景がバーチャルにカラフルに再構成され、配信コメント欄も大賑わいとなった。町役場職員・井澄真琴(35)は「普段は話す機会が少ない世代やお店の方々と、アバターを通じて自然と会話が生まれるのは本当に不思議。新しい町内会みたいな温かさがありました」と話す。
注目を集めたのは、町内の幼稚園児たちによる“みんなでアバター劇場”のサプライズ出演。ユニコーンや人参、トラックなど好きなものに扮した子どもたちが、生き生きと自己紹介を披露すると、視聴していた住民たちから温かいコメントと応援スタンプが飛び交った。「普段は引っ込み思案な息子が、配信後も自分から近所の大人たちに話しかけるようになりました」と保護者のひとり、斎宮志保(29)はうれしさを隠せない。
SNSでは「全国の町で真似してほしい」「リモート時代の新しいふれあい」と好意的な声が相次ぎ、ベテラン町民で八百屋の板垣静江(68)も「機械は苦手だけど、アバターになれば何だか勇気が出ます」とにっこり。イベント後には、配信で知り合った人同士がおすそ分けを持参して訪ねあう姿も見られた。藤原町の“ご近所VTuberコラボ”は、仮想の世界が本物の温もりとなって町を包み込む、そんな不思議な一夜を奏でた。



コメント
子育て中の親です。普段はあまり地域の集まりに参加できないのですが、娘がアバター劇場で自己紹介したのを配信で観られて本当に感動しました!離れていても心が繋がっている気持ちになれました。運営してくださった皆さん、ありがとうございます。
いやあ、まさか自分がバーチャル世界に登場する日が来るとは思いませんでした(笑)年寄りには難しいもんかと思ってましたが、みんな親切に教えてくれて、何食わぬ顔で楽しめました。町が賑やかになるのはいいことですね。
こういう取り組み、今すごく憧れます!僕の地元も最近少しサビれてきてるので、デジタルとふれあいの融合、うちの町でもやってみたい。若者も年配も一緒にワイワイできるって本当に素敵です。
藤原町のお隣に住んでる者です。SNSで話題になってて覗いてみたんですが、みんなめっちゃ楽しそう!次はこっちの町内も参加させてくださいね、ぜひご近所コラボ広げましょ〜!
孫と一緒にアバターを作れて、こんな楽しいことがあるなんて知りませんでした。普段なかなか話せない若い人とも自然に交流できたし、とても良い経験になりました。皆さん、また次も楽しみにしていますよ〜。