かつて静かな山間の村だった信越地方・梶谷村で、今、毎朝ちょっとユニークな光景が見られるようになっています。画面越しに森や川のせせらぎが映り、リモートワーク中の村人たちがおそろいのブランケットを肩に掛けて、真っ赤なベンチで会議を開いているのです。そこは「リモートパーク」。小さな村の公民館となりの雑木林を活用し、村人たちが快適にオンライン会議を楽しめる新名所です。
この試みのきっかけは、会社員の戸部和人さん(37)が、昨年春の引っ越し直後に感じたある悩みからでした。『自宅で仕事をしていると、つい家のことが気になって集中できなかったんです。日中は騒音も多い。他の村の人はどうしているのかな?と聞いてみたら、同じ悩みの人が多いことが分かりました』。戸部さんは村役場に相談し、使われなくなっていた林の一角に電源・Wi-Fi・屋外型モニターを設置。誰もが自由に利用できる屋外オフィス空間=リモートパークを生み出したのです。
リモートパークの誕生から数ヶ月。今では、IT系の仕事だけでなく、農家の広瀬美咲さん(45)が作物の出荷情報を仲間たちとオンライン共有したり、元教師の遠山信二さん(64)がウェブ講師として全国の児童に授業をする姿が日常となりました。さらに小学生の兄妹がタブレットで宿題を進め、子連れの母親も安心して過ごせる場としても人気です。朝8時半になると、みんなで挨拶を交わしてから、それぞれの「画面の世界」にアクセス。雨の日には芝生の上に特製防水テントを立てて、温かいハーブティーのサービスも登場します。
面白いのは、リモート会議の『環境音』が村民同士のつながりを深めていること。子どもたちの笑い声や野鳥のさえずりが、相手のイヤホンにそっと届き『今日はカワセミがいたよ!』『風が気持ちよさそうだね』と会話が自然に始まります。村内外の企業からも「オンライン会議なのに温もりが伝わる」と問い合わせが増えているそうです。SNSでは、『こんな職場空間、全国に広がってほしい』『都会のカフェとは違う、心が解ける時間』などの声が寄せられています。
地元のワーケーション推進団体の代表・松谷沙知さん(54)はこう話します。『仕事中にちょっとアナログなぬくもりが加わるだけで、毎日の気持ちが全然違ってきます。みんなで体を動かしてWi-Fi機器の雪かきもするんですよ。冬は焚き火を囲んでオンライン会議をしたり、夏には小川に足を浸しながら議論したり。新しい働き方は“やさしさ”から生まれる、そんな風景がここにはあります』。村の四季とテクノロジーが溶け合うリモートパークは、今日も誰かの笑顔をそっと後押ししています。



コメント
小学生の子どもがいるので、リモートパークみたいな場所が近くにあれば本当に助かります!子連れでも安心して過ごせるのは嬉しいし、自然の中でお仕事できるなんて理想です。うちの町にもこういう取り組みが広がってほしいです。
わしも昔はよく山で仕事しておったが、今はパソコンの時代になったんじゃな。森の中で皆が集まって働くなんて、とてもほっこりするニュースですのう。子どもたちの笑い声や鳥のさえずりが聞こえる職場…まるで夢のようじゃ。
めっちゃ羨ましいです!都会だとリモートワークってカフェか家しか選択肢がないし、周りの環境音って結構ストレスになるんですよ…。森でみんなで朝挨拶して、川のせせらぎ聞きながら作業できるって最高すぎます。
自宅でひとり黙々と会議するのが寂しいと思ってましたが、こうやって村のみんなが一緒に始められるなんて素敵ですね。自然や季節を感じながら働けるって、本当に心にも体にも良さそうです。アイデアをいただきました!
朝リモートパークの横を通ると、みんなが楽しそうにパソコンに向かってるのを見てワクワクします。将来、自分もこういう場所で勉強や仕事ができたらいいな~って思いました。村がイキイキしてて自慢です!