小さな町の音楽ホールに、軽快なリズムと笑い声が響く午後。あまりスポーツが得意ではない人も、高齢者も子どもも、思い思いの“好きな格好”で集まり、円になって足を鳴らしている――ここグリーンヒル市で始まった「まちぐるみダンスフィットネス」プロジェクトが、今や心の健康とつながりの輪を広げつつある。
プロジェクトの発案者は、ダンス講師の朝比奈絢(あさひな・けん、38)。かつて心理学を学んだ経験を生かし、「運動が苦手な人でも、ひとりじゃなくて皆で踊れば自然と笑顔になれるのでは」と思い立った。毎週末、公民館を借りて地域住民向けのダンスフィットネスを無料開放し、年齢差や運動歴を問わない独自ルールを作った。ルールは一つだけ。「踊りながら 他の人にニコッと微笑むこと」だ。
初回に集まった参加者は12名。だが“変な動きも大歓迎”という自由な雰囲気に、回を重ねるごとに口コミで参加者が増加。最近では小学校クラスごと、高齢者サークル、育児中の主婦らが入り混じり、100人を超える日もある。遠慮がちだった80代の横山和子さんは「今では振り付けが間違っても大爆笑。孫世代と踊れる魔法みたい」とほほえむ。
専門家もこの活動に注目している。神経心理学研究所の新井駿介博士(脳科学)は「ダンスはセロトニンやオキシトシンといった心の安定ホルモンの分泌を促す。しかも集団で踊ることで自己肯定感が高まり、認知機能や自律神経の調整、ストレス耐性が大きく向上します」とコメント。また、プロジェクトでは踊りながら簡単な暗算やしりとりを組み込む“コグニサイズ”も導入し、うつ症状の軽減や認知症予防にも良い成果が現れているという。
SNSには「日曜のダンスで一週間元気でいられる!」「初めて“人と汗をかくこと”がこんなに楽しいと知った」「悩みごとも踊って笑えば不思議と心が軽くなる」と喜びの投稿が続出。今後は町外にも輪を広げ、誰もが気軽に心と体を整えあえる“ほっとフィットネス”なコミュニティを目指している。絢さんは「うまい下手は関係なし。踊ることで、誰もが自分自身を少し好きになってくれたら」と語った。グリーンヒル市発の小さなフィットネス革命は、世界中に穏やかな波紋を広げていきそうだ。



コメント
小学生の娘が通っています。最近すごく明るくなって、家でも踊りながらニコニコしているので、親として本当にうれしいです。子育てに“地域の力”を感じられる素敵な取り組みだと思います!
自分も還暦を過ぎましたが、最近体を動かすのが億劫で…でもこの記事を読んでチャレンジしてみたくなりました。皆で笑いながら踊れるって、昔の盆踊りを思い出して懐かしい気持ちになりました。
学生ですが、テスト勉強でストレスたまってるとき、こんなダンスでリフレッシュできたら最高だろうなって思いました!みんなで笑い合えるのが本当に素敵です。グリーンヒル市がちょっと羨ましいです。
うちのご近所でもぜひやってもらいたい取り組みですね!普段なかなか話す機会がない年齢の人とも交流できそうでいいなぁ。踊り苦手だけど、こんな自由な雰囲気なら自分も挑戦してみたいです。
フィットネスって敷居が高いイメージあったけど、こういう笑いあふれる方法なら誰でも始めやすいんですね〜。実際に心も体も元気になれるなんて一石二鳥!ぜひ全国に広がってほしいです。