歌うお薬ケースが病院を救う日——笑顔を届ける“メロディカルテ”革命

病院の待合室で中年女性の看護師がカラフルなお薬ケースを手に高齢患者たちと歌いながら微笑んでいる様子の写真です。 医学
お薬ケースの歌で待合室に笑顔が広がる現場の一場面。

「次はラの音ですよ!」「今日も元気になぁれ!」——ある総合病院の内科外来から聞こえてくる歌声は、患者や医師、看護師たちの心をやさしく包み込んでいる。その中心にいるのは、中年の看護師・海野蓮子(58)が編み出した、楽しい“歌うお薬ケース”。これが、思いもよらぬ形で現場に明るさをもたらしている。

一日の業務に追われる救急外来では、目の前のカルテや薬の指示が膨大になりがち。ミスを防ぐためにも、スタッフとの声かけや確認は欠かせない。しかし人手不足が続くなか、海野看護師は「どうしたら楽しく、かつ安全に患者さんと向き合えるか」を考え続けてきた。そんなある日、むかし子どもたちのために作っていた“メロディお弁当箱”から着想を得て、お薬ケースにそれぞれの薬のタイミングや名前を“短い歌”に仕込んでみたのだった。

初めてこの“歌うお薬ケース”を披露した日、患者の一人である川口茂雄さん(72)が大きな声で「ラララ〜小さな青い粒、血圧守る友だち♪」と歌い始め、待合室の空気が一変。ほかの患者たちも続いて歌い、いつしか自然と輪ができた。「歌いながら薬のことを覚えると、飲み忘れもしなくなった」と川口さんは語る。その日のカルテには、“薬の名と飲み方を歌って復唱。表情明るく、不安少なめ”という新しい一文が添えられていた。

仕組みは単純だが、効果は想像以上だった。医師の波多野雄輔(39)は「患者さんが歌で自分の薬を覚えてきてくれて、説明が驚くほどスムーズなんです」と、その功績を語る。看護部のミーティングでは“メロディカルテ”制度として、各看護師がオリジナルソングを考案し合うコーナーも生まれた。SNSでは「母が自分だけの歌をもらって、とても嬉しそうでした」「診察のたびにみんなで合唱して、家族のような気持ちになれた」と、各地から心温まる喜びの声が上がっている。

“楽しい”から“覚える”、そして“つながる”。歌うお薬ケースは、患者と医療スタッフの距離をぐっと縮め、病院の日常にやさしい革命をもたらしている。「薬や治療はつらいものじゃなくて、仲間たちと乗り越える人生の一部。そんなふうに感じられる病院になれたら」と海野さんは微笑む。今では、院内にはさりげなくハンドベルや小さな楽器も置かれ、歌声が新たな医療のちからとして、静かに広がっている。

コメント

  1. 小学生の娘が病気で通院がちなのですが、こんな取り組みがある病院だったら、毎回もっと明るい気持ちで行ける気がします。歌にのせてお薬や治療を覚えられるなんて、本当に素敵なアイデアですね!

  2. 私もよく薬の名前だとか飲む時間をうっかり忘れてしまうので、この歌うお薬ケースは心からありがたい取り組みだと思いました。病院でほっこり笑顔になれるなんて、昔は考えられませんでした。ぜひ全国に広まってほしいです。

  3. 読みながら自然とメロディが浮かびそうな記事でした!医療現場ってどうしても緊張しがちだけど、こういう音楽のパワーが使われる時代になってるのがめちゃくちゃいいな~と感じます。私も看護の勉強してるので、いつか現場で実践してみたいです!

  4. この病院の近くだから、たまに患者さんたちが帰り道に嬉しそうに鼻歌まじりで歩いてるのを見かけてたけど、こういう理由だったんですね!町全体がちょっと明るくなった気がします。

  5. はっきり言って最初はそんなの本当にうまくいくの?って思っちゃいましたけど、読んでるうちに、歌のおかげで人と人の心が近づいていく様子が伝わってきて、なんだか泣きそうになりました。優しい世界が広がりますように!