青森県南部の静かな町、虹見市で、通りを歩く人々の笑顔が揃っていた。プラカードや旗を掲げるものの、どこからも怒声や抗議のシュプレヒコールは聞こえない。代わりに響くのは、拍手とほほ笑み、無数の「ありがとう」の声。ここ虹見市では、住民たち自身が立ち上がり、“日常の小さな幸せ”を伝えあうための新しい市民デモを企画した。
“ありがとうデモ”の発案者である主婦の伊吹沙知子さん(42)はかつて、子どもの登下校時に道を譲ってくれた配達員や、市役所で親切に案内してくれたスタッフに感謝を伝えたいと思いながら、その機会をなかなか見つけられなかったという。「町で暮らしていると、当たり前のようにみんなが優しく支えあってる。それを大きな声にして伝えられたら素敵だなと思ったんです」。SNSで仲間を募ると、数日で120人の賛同者が集まった。
デモ当日、参加者たちは“ごみ収集ありがとう”“バスの運転手さんありがとう”と手作りのボードを持って駅前商店街をゆっくり巡った。地域の漁師である島田義男さん(61)は、思わず涙ぐみながら車の窓越しに手を振った。「俺みたいなただの漁師も、声をかけてもらえてうれしいよ。自分の毎日の仕事が、誰かの幸せに繋がってるんだって実感できた」。参加した小学生グループは、介護士やスーパーの店員に向けた感謝メッセージを大声で届け、見守る通行人の顔にもやさしい笑みがあふれていた。
この活動を後押ししたのが“住民投票型アイデアコンペ”だ。虹見市では、誰もがインターネットや郵送で町への提案を簡単に出せ、その中から市民の投票によって実現案が決まる仕組みが根づいている。“ありがとうデモ”もこの投票で選ばれた企画のひとつ。市職員の佐川礼二さん(37)は「行政だけではできない、住民のまっすぐな善意が新しい伝統を生み出している」と話す。投票の結果は毎月発表され、表彰や地域商店街で使える“おすそわけ券”のプレゼントも温かな話題になっている。
今回のデモの様子は、参加者が撮影し、動画共有サービス『キズナウェーブ』で配信された。わずか1日で、全国から5万件以上の「いいね!」が寄せられた。専門家の間でも、「社会運動の新しい形」と評価する声がある。社会福祉学者の村瀬歩美氏は、「“ありがとう”の循環は地域の幸福度を着実に引き上げます。こうした動きが日本各地に広がれば、政治参加や社会運動はもっと身近で楽しいものになるはず」と語る。虹見市の“ありがとうデモ”は、静かな町から生まれた市民参加の奇跡として、これからも誰かの日常を温かく彩り続けるだろう。



コメント
こういう優しさにあふれたイベントがある町に住んでみたいです!子どもにも「ありがとう」を素直に伝えられる大人になってほしいので、虹見市の皆さんの取り組み、本当に素晴らしいなと思いました。
長いこと生きてきたけど、こんな温かいデモは初めて聞きました。ありがとうの言葉一つが、人をこんなにも元気にするんですね。自分も周りにもう少し感謝を伝えていこうと思います。
抗議じゃなくて、感謝で街が一つになるって最高に平和でいいと思います!SNSで拡がったっていうのも今っぽいし、私の地元でもやってほしいな〜☺️
デモって聞くと騒がしいイメージがあったけど、こんなにみんなでニコニコ歩いてるのはほっこりしました。普段あいさつしかできないけど、このニュース読んで、ちゃんと「ありがとう」言いたくなったよ。
おじいちゃんがごみ収集の人に「ありがとう」って言ってたのを思い出したよ。みんなが優しくすると、毎日が楽しくなるね!虹見市、すてきな町だなぁ。