おじいちゃんたちの映画配信作戦、村に笑顔を呼ぶ――世代と心をつなぐ「ふしぎな字幕」プロジェクト

地域の集会所で映画を楽しむ村の高齢者や子どもたちがスクリーンを見つめる夜の様子。 映画配信サービス
世代を超えて集まった住民たちが、手作り字幕で映画を楽しむ温かいひとときです。

静かな山あいの観月村で、年齢も趣味も違う住民たちが、映画配信サービスを通じて再び集うようになった。そのきっかけとなったのは、村の老人会長・杵崎良平さん(78)が孫の一言に背中を押されて始めた「ふしぎな字幕」プロジェクトだった。

数年前から観月村でもインターネットの波が届き、若い世代は配信サービスで映画やドラマを楽しむようになった。一方、杵崎さんたち高齢者は慣れぬ操作や早口のセリフ、難解なレコメンド機能に戸惑ってきた。「字幕があったら助かるけど、漢字ばかりで疲れてしまう」――そんな悩みを孫の楓太くん(12)にぽつりと漏らすと、楓太くんは「じゃあ、みんなでわかる字幕を作ろう!」と笑った。

そこで始まったのが、簡単な言葉とイラスト、方言までまじえた“手作り字幕”づくり。村の子どもたちや若いお母さんたちも集まり、タブレット端末で新しい作品ごとに字幕案を練り、ボランティアで登録した。映画配信会社「リールフレンド」も、このアイデアに共鳴。村限定の無料体験期間を設け、映像のキュレーションやテーマごとのラインナップ提案にも協力したという。

月に一度、みんなで夜の集会所に集まり、大きなスクリーンで映画を観る“おじいちゃんムービーナイト”。字幕には、時に方言で「ここは泣くとこやで」や「怖くないぞ、みんなで見よう!」とやさしいコメントが流れる。再生速度もみんなで相談し、疲れた時は倍速再生をやめて、気になるシーンは何度も巻き戻す。視聴履歴を共有して、おすすめ作品のランキングも高齢者グループ独自で作成した。

今では子どもたちにも人気の夜になり、世代を超えた“配信映画サークル”とへ発展。参加者のひとり、武本由美子さん(45)は「最初は配信サービスなんて難しそうだったけど、字幕案を考えるうちに家族の会話がふえた」と微笑む。SNSでも『観月村の温かい夜』と投稿され、全国の過疎地域に同じような取り組みが広がりつつあるという。

杵崎さんは「みんなで映画を観るのは、昔の村祭りみたい。配信って冷たいものだと思っていたけど、人をつなぐ不思議な橋になるんですね」と話す。配信権や対応端末が進化する時代、そこに込められたあたたかな“心の字幕”が、村じゅうを優しく照らしている。

コメント

  1. こういう取り組み、本当に素敵ですね!字幕づくりにお母さんや子供たちも参加していると知って、とてもあたたかい気持ちになりました。子育て中の私も、家族みんなで映画を観る時間をもっと大切にしたいと思いました。

  2. 地元の方言入りの字幕、めっちゃおもしろそうです!世代をこえて一緒に映画を楽しめるなんて、最高じゃないですか。自分の地元でもやってみたいなと思いました!観月村、ほんとに羨ましいです。

  3. 高齢者になってから、新しいサービスにはなかなか馴染めずにいましたが、このようにみんなで助け合いながら体験するのは素晴らしいですね。私の町にもこんな温かい灯りがともるといいなと心から思います。