桜もそろそろ満開の兆しを見せはじめたこの春、次世代型メタバース空間「パレットパーク」には、現実の公園のような賑やかさと温もりが生まれ始めている。デジタルネイティブのZ世代を中心に、個性豊かな自己表現と“ぴえん”文化による優しいつながりが話題を呼んでいる。
話題の震源地となったのは、インフルエンサーの塩屋ミユ(22)が愛犬そっくりの“ぴえん犬”アバターを作り、パーク内でふわふわの涙型シャボン玉を飛ばすライブ配信イベントだった。シャボン玉は、視聴者の“今の気持ち”や“誰かに伝えたいやさしさ”が色で浮かび上がる仕組みで、それぞれが遠くの友人や、時にはまだ会ったことのない人への「だいじょうぶ?」の思いを託して空へ放つことができる。中には、「試験勉強つらいぴえん」(19歳学生)や「推し活がんばってるよ、ありがとう!」(16歳高校生)といったコメントがシャボン玉となって飛び交った。
イベントの瞬間、メタバースの公園は虹色の涙であふれ、ランダムに浮かんだ“ぴえん犬”たちが、ユーザーのアバターの肩にそっと寄り添って歩いた。“肩にぴえん犬が乗ると、なぜか失恋の痛みが1割減る”などの体感報告もSNSで続出。Z世代の多くが「自分の気持ちに素直になれる」「どんな気持ちも受け止めてくれる」「泣いてもいい場所がある」と、共感の交流を楽しむ場となっている。
パーク内では、動画投稿機能を使い、参加者がお互いの“新しい自己表現”を応援し合う動きも盛り上がっている。人気だったのは、ぴえん犬と一緒に踊るダンス動画や、“涙で咲くバーチャルサクラ”のショートムービー。投稿された動画には、知らない人からも温かいコメントや「じんときた」「負けずにがんばる」など、やさしいリアクションが相次いでいる。近ごろは、運営が参加費の一部をメタバース内の“サステナブル植樹”に活用する試みも始まった。バーチャル空間から現実世界への、小さくも確かな還元だ。
専門家の浅海コウ(メタバース文化研究者)は『Z世代は、共感や自己表現がリアルでもネットでも自然にできる世代。涙や“ぴえん”の言語化をポジティブに活用し、思いやりがデフォルトになる社会を創りはじめている』と語る。取材最後に出会った利用者の一人、アルバイトの榊マリモ(20)は、「悩みごとをシャボン玉にして飛ばせると、誰かにそっと助けられた気がしてうれしい」と、画面越しに笑顔を見せた。
『泣きたい時はぴえん公園、元気な時もぴえん犬』――そんな合い言葉が、生まれたばかりのバーチャルな公園に、ゆっくりと根付いている。
コメント
子育て中なので、こういう優しいデジタル空間が広がっているのは嬉しいです!子どもたちも、自分の気持ちを大事にして過ごせる場所があるのは素敵ですね。大人も癒されそう…
いやぁ、昔じゃ考えられない世界に驚きました。ぴえん犬…可愛いですね。機械は苦手だけど、こんな優しい交流の輪が広がるなら、ちょっと覗いてみたい気持ちになります。
試験前でメンタルやられてたけど、シャボン玉に気持ち込めてちょっと楽になった!共感って、リアルでもバーチャルでも大事なんだなって再認識した。
最近公園で遊ぶ子が減りましたけど、こういう形で人と人がつながっていけるのも素敵ですね。ぴえん犬に元気をもらいました。現実の世界にもやさしさが広がったらいいな。
推し活も学校生活も色々うまくいかない日があるけど、気持ちをシャボン玉にして飛ばせるなんて最高!知らない人からの「じんときた」ってコメントがめっちゃ励みになります。