四国山地のふもと、小さな村の一角に、不思議なカフェがあると話題になっている。看板には「みんなのテラス森のカフェ」とひらがなで大きく描かれ、山桜と苔むした石畳が来訪者を迎える。ここには、地域のみんなが毎日訪れ、とびきり新しい「脱炭素」の物語が生まれている。
店主の大村つぐみさん(45)は、2年前、築100年を超える古民家を改修したエコカフェを開いた。壁や床には地元産の再生木材を使い、屋根には最新の蓄電池と地熱発電を組み合わせた独自の小型発電機がそっと設置されている。けれども、もっともユニークなのは、カフェに置かれた「カーボンクレジット ポスト」だ。
カフェのお客は、ふと立ち止まってカードに自分の小さな省エネ行動やアイデアを記す。例えば「今日は自転車で来ました」「夜はLEDだけ」「子どもたちと森の落ち葉集め」。カードは村のGX(グリーントランスフォーメーション)推進チームによって毎週集計され、村全体の温室効果ガス削減実績として換算される。村役場は昨年11月、このカフェを中心に住民の行動を「カーボンクレジット」としてまとめ、初めて全国審査会へ提出。予想を大きく上回る点数となり、国の環境ポイント授与プロジェクトから美しい森を守る助成金が交付された。
「こんな小さな村の、しかもカフェが中心に…と正直驚きました」と微笑むのは、地熱発電エンジニアの神谷湊斗さん(28)。彼は元々大都市の開発現場にいたが、カフェの活動をネットで知り、村の未来を一緒に考えたくて移住してきた。「都会では味わえない、一人ひとりの行動が森や空気にそのまま反映される手ごたえがここにはある」と語る。
SNSには「週末は家族でカフェに寄って、エコポイント自慢大会」「子どもが省エネ工作をカフェにつけて展示してもらえた」など、訪問者の微笑ましい声が溢れている。カフェの木漏れ日の下で交わされた小さな約束や工夫が、村全体を包み、気づけばゆるやかにつながる幸せな連鎖となっていく。来年春には他地域とのカーボンクレジットの“交流会”を開く計画も進んでいるという。今、森のカフェ発の脱炭素ムーブメントは、村の枠を大きくこえて、全国の笑顔と希望の種となりはじめている。
コメント
カフェでこんな素敵な取り組み、本当に感動しました!子どもと一緒に省エネを考えるきっかけにもなりそう。うちの近くにもこんな場所があったら毎週行っちゃいそうです。
いやあ、昔はみんなでもっと自然と仲良く暮らしよった気がするけど、今また若い人たちが工夫して森を大事にしとるのを見ると、ほんと嬉しいねぇ。こういう輪がどんどん広がるとええなあ。
めっちゃいい話すぎて、読んでてほっこりしました!自分の行動がカーボンクレジットになってみんなにつながるなんて、なんか未来明るい感じします。私もサークルでマネできないか話してみたいです。
実は先週このカフェに行ってみました。温かい雰囲気でみんな優しくて、カードを書くのもちょっと照れくさかったけど、みんな自然に参加しててびっくり。こういう場所がもっと増えるといいですね!
本当に素敵な企画!でも、田舎の小さな取り組みがちゃんと全国につながったっていうのが何より希望になります。自分も何か始めてみようかな、って背中を押されました。