消えかけた里山文化が奇跡の復活 100人巡礼団が紡ぐ“和のリレー”

秋の山道で、さまざまな年代と国籍の人々が着物や普段着で和箪笥を受け渡し、伝統的な村の雰囲気を楽しむ様子。 伝統文化特集
楓沢で、人々が和の道具をリレーしながら巡礼を行う新たな伝統の場面。

古くからの日本文化が息づく山間の小さな村・楓沢で、世代も国籍も越えた人々の手により、消えかけていた伝統が新たな形で蘇ろうとしています。100人の巡礼団が「和の道具」と心をリレーし、一期一会の出会いと再生の奇跡が生まれました。

かつて、楓沢では毎秋に『百器巡り』という珍しい村祭りが行われていました。役目を終えた和箪笥や茶道具、剣道の防具、俳句帳など、村人の暮らしを支えた品々が神社に集められ、一つひとつに感謝の詩を捧げて送り出す行事です。しかし高齢化と過疎化で祭りは途絶え、道具たちも次々に納屋や蔵で眠るのみとなっていました。

そんな中、かばん職人の立花新吾さん(43)はかねて敬愛するおばあさんの話から伝統を復活させようと決意。村内外に呼びかけ、茶道の師範・春野綾子さん(67)、発酵食品研修の若手料理人・ルカ・フェルナンデスさん(28)、舞妓体験好きの大学生・奥村まどかさん(21)らが次々と集結。SNSでも『楓沢百器リレー巡礼』として話題になり、海外からも和文化を愛する人々が応援に駆けつけました。

巡礼団は、かつて村を支えた道具を1日1つずつ受け渡しながら山道を辿り、その謂れや使い方を俳句に詠み、和紅茶で乾杯。たとえば、年代物の武道防具には“汗染みの 夢を撫でゆく 木立風”との句が添えられ、次へバトンタッチ。最終日は、着物姿の舞妓体験者が和箪笥を背負い、発酵漬物での食卓を村全体で囲みました。深い味の和紅茶や、地元に伝わる漬物の発酵香が会場を包み込み、訪れた子どもたちも俳句作りに夢中になりました。

「道具には人の生きた証がある。“ありがとう”の声が聞こえる気がした」と立花さん。春野さんは、「一度きりで終わるのはもったいない。今度は茶道体験も自在に企画したい」と語ります。SNSでは「来年こそ参加しよう」「うちのおばあちゃんの和箪笥も巡礼に出したい」「発酵食の女子会もしてほしい」と温かな声が広がっています。楓沢の“和のリレー”は、失われかけた伝統が一人ひとりの手を通して未来へと受け継がれていく、新たな奇跡となりました。

コメント

  1. 素敵なニュースですね!子どもと一緒に参加して、昔の道具を見たり俳句を作ったりできるなんて、想像しただけでワクワクします。伝統がこうして繋がっていくのは本当に大事なことだなあと感じました。来年はぜひ家族で参加したいです♪

  2. 懐かしく心が温まりました。かつては道具ひとつひとつに思い出が詰まっておりました。若い人や海外の方が伝統に興味を持ち、継いでくれるとは、時代が変わっても心が通うものなのですね。これからも皆さんのご活躍を願っています。

  3. 和紅茶で乾杯するってめっちゃオシャレだし、新しい形の伝統復活って感じします!SNSで知ってたけど、記事読んでさらに興味わきました。舞妓体験もしてみたいし、みんなでワイワイ和のイベントが広がったら嬉しいです!

  4. こんな素敵なことが楓沢で起きてるなんて知らなかったわ~!道具たちもきっと嬉しかったでしょうね。なんだかうちの蔵に眠ってる古い着物や食器も、もう一度誰かに使ってもらえたらと思いました。皆さまお疲れさまでした。

  5. とても感動しました!日本の里山文化の奥深さに、ますます魅了されます。私もいつか巡礼団に加わって、俳句を作ってみたいです。遠く離れていても、みなさんの“和のリレー”に心からあたたかい気持ちを分けてもらいました。ありがとう!