車いすバスケ女子たちが“月夜リーグ”創設 街中に届く未来パス

夜の屋外バスケットコートで月明かりに照らされながら、車いすに乗った女性選手がボールをパスし、観客とデジタルスクリーンのアバターが見守っている様子。 車いすバスケットボール
現実とバーチャルが融合した「月夜リーグ」の幻想的なワンシーン。

輝く月夜の下、新しい風が女子車いすバスケットボール界に吹き始めた。「月夜リーグ」と銘打たれたこのリーグには、バスケットコートだけでなく、仮想空間までを舞台にした前例のない発展が広がっている。選手、地域の人々、そして全国の応援者が一つになり、温かくも力強い物語が織りなされている。

風見愛乃(28)は、車いすバスケットボールの全国大会で「絶対音感パス」と呼ばれる見事なアシストを披露した選手として知られる。音が跳ねるようにボールを回し、どんな緊張の瞬間も笑顔でつなぐ。そんな愛乃のもとには、福祉団体や学校からの見学依頼が絶えない。今年、彼女は仲間たちと新たな構想を立ち上げた。それが、放課後や休日、地元の公園や空き地を活用して行われる「月夜リーグ」だった。

このリーグ最大の特徴は、リアルとバーチャルが境界を越えて融合している点だ。ITに詳しい菅原考世(34)のアイデアで、全国各地の選手やファンがオンラインでチームメンバーになれるeスポーツ大会も同時開催されている。実際の試合前には、VRコートに全員が集合し、各自のアバターで作戦会議やバスケミニゲームを楽しむことができる。離れた地域の子どもたちも、端末一つで“月夜のコート”に集い、障がいの有無に関係なく同じ遊び心で競い合える場が生まれている。

試合の合間、愛乃たちは地元の小学校で“未来パス教室”を開く。「車いすを使ってバスケをすると、初めてする子も最初は戸惑うけど、ゴールを決めたときの嬉しさはみんな同じです」と愛乃は言う。授業だけでなく参加体験やeスポーツデモも取り入れ、子どもたちが多様な方法で障がい理解を深めるきっかけとなっている。実際に車いすに乗ってゲームをした児童(9)は、「これならぼくもヒーローになれる!」と満面の笑みを見せた。

SNSでは、ハッシュタグ「#月夜リーグに未来パス」が急速に広がっている。参加者が投稿するゴールの瞬間や、オンライン作戦会議の愉快な様子には、障がいの壁を感じさせない一体感が詰まっている。スポーツ評論家の新山綾乃(42)は「eスポーツと車いすバスケの融合が、経験や障がいの有無を越えた“共感のパス”を生んでいる」とコメント。月明かりに照らされたコートと、端末越しの数えきれない想いが、今日も未来へ届いている。

コメント

  1. 子どもが車いすユーザーなので、こういう取り組みには本当に励まされます。リアルもバーチャルもどちらも挑戦できる環境が増えていて、未来が明るくなるニュースですね。ありがとうございます。

  2. 昔はこんな活動は聞いたことがありませんでした。時代はどんどん良くなっているんですね。みんな一緒に楽しめるスポーツ、本当に素晴らしい取り組みです。ぜひ長く続いてほしいです。

  3. 自分もゲームが好きなので、eスポーツとバスケが混ざるの超おもしろそう!遠くの友達とも参加できるし、障がいとか関係なく一緒に戦えるのいいな~。今度応募してみます!

  4. 近所の公園で夜にバスケのイベントがあると、通るたびに元気な声が聞こえてきて、こちらも笑顔になります。子どもたちも『見に行きたい!』と言ってます。応援してます!

  5. なんだか読んでいてホッとしました。障がいの有無で分けるんじゃなくて、みんなで月夜の下で笑い合えるなんて素敵ですね。世の中がこういう優しい輪でいっぱいになればいいなあ。