教室の窓辺に、小さな鉢植えが並ぶ。どの鉢にも“願いの種”と名付けられた色とりどりの植物が、子どもたちの声を聴くように静かに芽吹いている。ミライ小学校5年2組の教室で始まった、誰もが一緒に学び合える新しい試みが、今SNSや教育関係者の間で話題となっている。
ミライ小学校の5年2組では今年度、車いすを使う児童やコミュニケーションに支援機器を活用する児童、視覚・聴覚に特性をもつ児童など、様々な個性を持った26人が共に学んでいる。きっかけは担任の影山涼子教諭(44)が提案した『願いの種プロジェクト』。それぞれの“やりたいこと”や“困っていること”を紙に書き、みんなで読み合い、話し合いながら解決方法を決めていくというものだ。
毎週金曜のホームルームでは、一人ひとり自分の思いをみんなに伝え、クラス全員で意見を出し合う。例えば、発話に困難さのある児童・吉住浩一さん(11)は、『グループで工作をするとき、声で参加しにくい』という困りごとを書いた。するとクラスメイトの西岡美月さん(10)は、浩一さんが使えるスイッチ式発言ランプを考案。ものづくりが得意な藤城歩夢さん(11)が仕組みを作り、全員で練習しながら導入した。今では、浩一さんのランプが光るたび、「浩一くんが考えたんだ!」と自然にみんなが耳を傾けるようになった。
教室奥の壁には『みんなの工夫ボード』があり、車いす利用の児童・三宅風太さん(12)が『黒板が見えづらい時は床のマーカーラインまで机を動かしてもいい?』と書き込むと、クラス全員で机の配置を相談し直した。『工夫を考えて形にするのが楽しい』と話す児童も多く、専門家の三浦結香さん(インクルーシブ教育アドバイザー)は『子どもたちが自分たちで合理的調整を生み出し、共生社会の感覚を自然に体得している。全国に広めたい好事例』と語る。
クラスの取り組みはSNS上でも広がっている。X(旧Twitter)には『ミライ小に願いの種が咲いているらしい』『工夫が日常になってるのはすごい!』という声が連日寄せられる。教室の鉢植えは、毎月ひとつずつ子どもたちが“今月の願いと工夫”を書いたメッセージカードと一緒に新しい種を植え、成長をみんなで見守っている。やがて咲いた花を見るたびに、『できない』が『できた』に変わる瞬間の喜びを、子どもも大人も共に感じているという。
『一人ひとりの違いが、アイデアになる。いろんなやり方で一緒にできるって、すごいことだと思うんです』。教室の子どもたちが笑顔で語るとき、色とりどりの花と共に、未来へ続く優しい学びの芽が育っていくようだ。
コメント
私は小2の子どもを育てていますが、こういう取り組みがもっと広がればいいなと思いました。子ども同士で支え合って工夫していく姿、本当に素敵で感動しました!うちの子の学校でもやってほしいです。
いやあ、今の子どもたちは本当に柔らかい発想を持っているんですねえ。こんな優しい教室が増えたら、うんと住みやすい世の中になる気がします。昔は考えられなかったけど、いい時代になりましたな。
読んでてほっこりしました!発言ランプとか、同年代でアイデア出し合って形にできるの、本当にすごいです。私も教職を目指してるので、こういう事例を知れて励みになりました。
ミライ小学校の前をよく通りますが、子どもたちが本当に明るくて元気なんですよね。こんな取り組みしてたなんて知りませんでした。ちょっと感動して涙出ちゃいました。応援しています!
正直、自分の学校にもこういう雰囲気があればいいのになと思いました。みんなの違いを工夫や強みにできるってカッコ良すぎる。願いの種の花、見に行きたいな。