昼間は静かな森として親しまれる青森県東端の桐野村。その村が今、全国の注目を集めている。理由は、毎年秋の夜にだけ開催されるという“ワイヤレス交流祭”だ。今年も森の木々が不思議な輝きを放ち、村中の家々にやさしい光が灯ったという。
交流祭の主役は、コダマと呼ばれる古い木々。地元の電気工学愛好家・野比真美(34)が研究してきた『直流蓄光皮膜』を枝に塗布することで、これらの木々は微細な電流を吸収・蓄積し、夜になると自らの幹や葉をやさしく光らせる。しかも、その発光エネルギーがワイヤレスで村のスマートグリッドと連携し、隣接する民家や公民館にも送られる仕組みなのだ。
実験が始まったのは3年前。当初は疑問と不安が交錯していたが、いまや交流祭は子どもからお年寄りまで楽しみにしている村の秋の風物詩になった。村の小学生・矢羽根みどり(11)は『木の光が優しくてまるで森がおしゃべりしてるみたい。スマホの充電もできるから、おばあちゃんと一緒に散歩できるのもうれしい』と笑顔を見せる。
村の暮らしも小さな変化を迎えた。これまで暗くて外出しづらかった夜道や集会所が、交流祭の夜だけは木の明かりとほんのり流れる電流で安全に照らされる。遠く離れて暮らす人々がSNSで投稿した木々の発光写真は瞬く間に拡散され、『うちの村でもやってほしい』『森に会いに行きたい』という声が全国に広がった。
発案者の野比さんは、『木々や自然と調和しながら、電気の恵みをわかち合う村になれたらうれしいです。コダマの木が灯すのは、優しい光と人の心のつながりですから』と目を細める。夜になると、森も村も、住民たちも、一緒に静かな優しい明かりで結ばれる。桐野村の夜は今日もあたたかく輝いている。



コメント
子どもと一緒に読んで、こんな交流祭が現実にあったら素敵だなって思いました。自然とテクノロジーが優しく結びついている感じがあったかいです。いつか家族で桐野村の森を歩いてみたいです。
昔は夜の森なんて怖かったもんですが、今はこんなに明るくて、しかもスマホまで充電できるなんて驚きですね。お年寄りにも安心な村づくり、もっと広がると良いなぁと思いました。
自分は工学系の大学生なんですが、直流蓄光皮膜って響きにめっちゃ興味があります!森全体がワイヤレスで発光するとかワクワクします。野比さんの発想力、すごいです…!
桐野村のお隣の町に住んでいます。毎年この時期になるとSNSで発光した森の写真が流れてきて、何だか自分も優しい光に包まれている気持ちになります。機会があればぜひ家族で交流祭に行ってみたいです。
正直ちょっと本当なの?って思っちゃいました(笑)。でも、木の光で道が明るくなって、みんなが安心して外に出られるなんていいですよね!子どもたちも喜びそうだし、うちの町にもこういうお祭りが広まるといいなと思います。