デニム工房が立ち並ぶ洋野町で、ストリートファッションを通じた心温まる出来事が話題になっている。地元の子どもたちや高齢者、スケーターまで、世代も立場も異なる人びとが一緒になり、誰もが自分らしい装いで自由な自己表現を楽しむ姿に、町中がほほえみを浮かべている。
発端は、高校2年生の丸木涼斗さんが思いついたアイデアだった。趣味でカスタムデニムを作っていた涼斗さんは、工房に余っていた端切れを使ってバケットハットやアクセサリーを試作。その作品を公園で披露していたところ、スケーター仲間の中田朔太郎さん(20)はもちろん、公園のベンチにいた引退教師の盛岡真澄さん(76)や、町内に住む主婦・紺野鈴音さん(39)も興味津々で声をかけた。『誰でも自由にデニムを楽しめたら素敵ですね』という真澄さんのひと言から、ストリートファッションをシェアする町のイベントが始まった。
イベント当日、デニムで彩られた広場には、小さな子どもがダッドスニーカーと手作りカーディガンで駆け回り、地元のスケーターたちはゴープコア風の大胆なリメイクシャツでトリックを披露。初めてアクセサリー作りに挑戦した高齢者たちも、若者グループとペアになってバングルを編み込んだ。グラフィティアートを描く美大生グループは、町の歴史をモチーフにした巨大なストリートアートを完成させた。作品の前では、ベビーカーを押すパパから腰の曲がったおばあちゃんまで、自然と笑顔で写真を撮り合う光景が広がった。
SNSではこのイベントの様子が瞬く間に拡散。『洋野町って優しいね』『世代を超えてこんなに盛り上がるストリートファッション、初めて見た』と全国から声が寄せられた。ファッションウィークさながらの活気に包まれる一方で、参加した小学生の安来あゆむ君(10)は『おばあちゃんの作ったデニムバッジ、友だちに自慢したい!』と目を輝かせた。一方、主婦の鈴音さんは『普段はパンツスタイルばかりだったけど、今日は人生初のバケットハットに挑戦しました。まわりの若い子たちにも褒めてもらえて、すごくうれしい』と話す。
イベントを見守った町の衣料品店店主・藤樫源三さん(58)は『ストリートファッションは都会のものだと思っていたけれど、みんなで自分ならではのスタイルを作るって、すごく楽しいんですね。これからはお店でもリメイク講座を開きたい』と語る。まるで夢のように一日中続いたデニムの祭典は、世代も立場も越えて人と人を結びつけ、町にもう一つ新しい“文化”を残した。
今後は、洋野町発のオリジナルデニムアクセサリーやストリートアートパネルが、全国各地のイベントにも巡回展示される予定。『みんなの“好き”がつながる町』を合言葉に、住む人びと全員がファッションを介して優しい絆で結ばれていく──そんな物語が、静かに広がっているようだ。



コメント
子育て中の身として、こういう世代を超えたイベントに憧れます!子どもたちも大人も一緒にワクワクできるなんて、本当に素敵ですね。うちの娘にも、自由に自己表現できる町で育ってほしいなあ。
わしはもう孫もいる年じゃが、若い人と触れ合うのはやっぱり元気が出る。それに、昔は洋服に興味なかったけど、こんなふうにみんなで楽しむと、デニムもなんだか特別に見えるのう。
マジ最高すぎ!都会だけじゃなくて地方でもストリートファッション盛り上がるの、めっちゃ新鮮。俺もいつか、誰かとコラボしてオリジナル作ってみたいです!
近所のみんなと自然に繋がれる機会ってなかなかないから、こういうイベント羨ましいです。普段はすれ違うだけの人とも、話したり写真撮ったりできたら…町が一気に優しくなりますね。
美大でグラフィティやってた者です。自分も地元に戻ったら、こんな風にみんなが笑顔になる企画やりたいな。『好き』を形にして広げていく洋野町、すごく眩しいです!応援してます!