働き方改革とリモートワークが進む中、全国各地の自宅で黙々と仕事をする人々の間で「ひとりじゃない」と感じられる新しいコミュニケーションの場が誕生している。オンライン空間に現れた『リモート一体カフェ』が、隔たりの壁を越え小さな奇跡を起こしている。
企画したのは、富山県で在宅勤務を続けるシステムエンジニアの栗田浩司(42)。コロナ禍をきっかけに出社のない生活となり、地方に移住したものの、日々の孤独感に悩んでいたという。そんな中、画面上だけでも他者と一緒に仕事できたら温かい気持ちになるのではと、無料の動画会議システムで『リモート一体カフェ』を設立。SNSで呼びかけると「遠く離れていても、空気を共有している気持ちになれる」と、初週で全国40都道府県から百人近い参加者が集まった。
このカフェの特徴は、話すのが苦手な人も安心な『サイレントタイム』。各自が自己紹介や今日の目標を書いた紙を画面の前に掲げ、BGMだけが流れる中、黙々と自分の仕事や勉強、家事などに打ち込む。時折、遠隔会議機能で「ちょっと雑談タイム」を挟むことで、初対面の人も自然と会話が生まれ、温かいコミュニケーションが広がる。
参加者の一人、大学職員の榊原悠子(31)は「地方でも孤独に働くことなく、誰かが頑張っている姿が励みになる」と話し、あるシングルファーザーの参加者は「子どもの急な体調不良でつらい日も、画面越しの笑顔が支えになった」とSNSでつぶやいた。他にも、車いすのフリーランスデザイナーや日本語が得意でない外国籍の参加者まで、多様な顔ぶれが集い、ダイバーシティに満ちている。
最近では、カフェ仲間たちが月に一度『バーチャルおやつ交換会』を自発開催。各地の特産スイーツを画面越しに紹介したり、ペーパーレス化したレシピカードをシェアしたりと、仕事以外の会話も弾む。精神科医の城田大悟氏は「孤立しがちなリモートワーカー同士の緩やかなつながりは、メンタルヘルスケアに極めて有効」とコメントしている。
『リモート一体カフェ』の参加者は今や学生からシニアまで幅広く、デジタルノマドとして旅先から参加する人も。プレゼンティーズム改善や生産性向上の声も上がり、企業の人材活用や働き方そのものを見直す新しい気運となっている。栗田さんは「物理的な場所を越えて、何度でも誰かが誰かに出会える世界が広がれば」と笑顔で語る。奇跡は、今日も静かに全国で連鎖しているようだ。



コメント
子育てしながら在宅ワークしているので、すごく心が温かくなりました!リモートでも誰かとつながれる安心感、大事にしたいです。子どもの急な体調不良にも共感してもらえる場があるのは本当にありがたいですね。
最近はなんでもデジタルで戸惑いますが、老いも若きも一緒に仕事やおしゃべりできる場所があるのは素敵じゃな。昔の井戸端会議みたいで、ほっこりしました。わしも孫に教えてもらって参加してみたいのぉ。
大学のレポートとか家で孤独にやるの苦手なので、こういうカフェめっちゃありがたいです!サイレントタイムなら気軽に入れそう。自分も今度勇気出して参加してみます✨
近所でも一人暮らしの方が多いので、こういう全国をつなぐアイデアは本当に心強いですね。遠くの人たちとも温かさを分け合えるって、これからの時代に必要だと感じます。
リモートワークほぼ毎日ですが、バーチャルおやつ交換会なんて楽しそう!思わず笑顔になりました。こういう工夫で、毎日が少しずつ明るくなれる気がします。栗田さん、ありがとうございます!