フクロウカフェから始まる“家計のわかちあい術”──小さな町のウェルビーイング革命

山間のカフェでフクロウが見守る中、様々な年代や立場の人たちがノートを囲んで温かく語り合っている写真です。 ファイナンシャル・ウェルビーイング
棗のフクロウカフェで始まった“わかちあい会”の様子が温かく描かれています。

朝の陽ざしがガラス越しに差し込む静かな山間の町・棗(なつめ)の一角、古い商店街のなかに人々が引き寄せられるカフェがある。そこは、ずんぐりとしたフクロウたちが憩う『フクロウ珈琲』。このカフェで始まった、住民参加型の家計まわり“わかちあい会”が、町に新しいお金との向き合い方をもたらしている。

きっかけは、カフェの店主であり二児の母・野々宮優子さん(38)の素朴な疑問からだった。「子育てと家計のバランス、どうすればいいのかなあと悩んでいたら、常連さんも似たような話をしていたんです」。“子どもの教育費ってどこまで必要?”“老後資金ってなにから始めれば?”、そんな思いを持つ住民たちと気軽に話し合うお茶会が偶然始まったのだ。

開催されるのは、毎週木曜の閉店後。カフェに集まるのは主婦や商店主、高校生や定年後の独り暮らしの男性、そして、大学生の副業希望者や、小さな畑を営む若者たちまでさまざま。フクロウたちが静かに見守る中、みんなで「家計ノート」を持ち寄り、それぞれのやりくりや将来設計の悩みを、飾らずシェアしていく。

町の金融機関で働く寅島純也さん(45)もボランティアでアドバイザー役を買って出ている。「お金について話すこと自体が、これまで気恥ずかしかった。でも、ここでは『いい恥ずかしさ』をみんなで笑いとばせる」と純也さんは顔をほころばせる。目的は、一人ひとりが“自分にあった幸せのかたち”を見つけることだ。参加者の間では、お手製のライフプラン表が交換され、人気のつみたて投資サービスや副業体験談も飛び交う。

その中でも特に注目なのが、リスキリングを応援し合う“おすそわけ制度”。失業をきっかけに、新たにパソコンスキル習得にチャレンジする主婦と、高校生が教え合う姿、小さな趣味を収入につなげたいと持ち寄れる場所が生まれたことだ。“家計”は単なる数字のやりくりではなく、互いの人生や夢までも励まし合う語り場へと広がっていった。

SNSでは「こんなカフェが全国にできてほしい」「家計の話で友達ができるなんて初めて」という声が寄せられ、町外からも見学者がやってくる。野々宮さんは「お金は暗い話題じゃなくて、お互いの未来を語れるきっかけに変わった」と話す。棗のフクロウカフェには、今日もあたたかな輪が広がっている。

コメント

  1. 子育て中の身として、とても共感しました!家計の悩みって打ち明けにくいですけど、こうやってみんなで話せる場があったら心が温かくなりそう。フクロウたちにも癒されたいです。

  2. いやぁ、昔はお金の話なんて家族の中でもなかなかできなんだものなぁ。こんなふうに世代を超えて助け合うなんて、今の若い人たち偉いよ。私もこんな輪に入りたかったな。

  3. 学校でもお金のことちゃんと教えてくれたらいいのにってずっと思ってたから、こういう場所うらやましい!フクロウにも癒されそうだし、みんなで話し合えたら将来の不安も減りそう。

  4. お隣のフクロウ珈琲さん、こんな取り組みしてたの本当に素敵です。町が明るくなるし、商店街全体が元気もらえてます。また今度お茶しに行きますね!

  5. ちょっと最初はお金の話って抵抗あったけど、こういう開かれた雰囲気なら自分も気軽に挑戦できそう。大人も学生も分け隔てなく話せる場所、最高ですね!フクロウカフェ行ってみたい!