奇跡の“チケットタッチ”で笑顔の連鎖 演劇会場に広がるほっこりエンタメ革命

劇場入口で見知らぬ観客同士がスマートフォン越しに手のひらを合わせ、笑顔でチケットタッチをしている様子。 ライブエンターテインメント
チケットタッチによって広がる笑顔が劇場に温かな連帯感をもたらした。

劇場の前で見知らぬ観客同士が静かに手を差し出し合う光景――。先週、山梨県甲府市の夢光ホールで開催された音楽と演劇のハイブリッド公演で、不思議な現象が起きた。最先端のAR舞台装置と現地チケットレス入場を導入したこのステージでは、チケットを持たない“偶然の来場者”も、観客同士の“手のひらタッチ”で入場できる「ミラクル・ウェーブ・システム」が大成功を収め、地域に新たな連帯感と幸せをもたらしている。

このユニークな仕組みは、舞台制作会社『ハピネスストリーム』のプログラマー、桑原滉(くわばらひろし/33)が発案した。彼は転売価格の高騰やチケット忘れに肩を落とすファンたちのため、「もし“誰かの善意”が会場へのパスワードだったら?」という想像からシステム開発を始めたという。公式アプリで抽選された会場限定の電子チケットは、当日ゲートで“すでに入場した観客の手のひら”とスマートフォンを一緒にタッチすることで、未所持の人にも譲渡される仕掛け。残る枠は会場内の来場者数と連動し、満席時は自動でストップするため安全面にも配慮されている。

公演はARによる迫力の舞台転換と、生演奏の音楽が融合した奇跡のステージ。チケットタッチで入場した人々は、その不思議な巡りあわせに思わず友達のように会話を弾ませていた。高校生の松川由希(17)は「たまたま居合わせた女性に声をかけてもらい、初めて会ったのに一緒にパンフレットを見て盛り上がりました。入場後、周囲の人たちも次々と“タッチ譲渡”をしていて、あたたかい波が広がっていくのが本当にうれしかった」と語る。

この日、物販エリアでは舞台装置のミニチュアなど限定グッズが並び、アフターイベントとして即席のオフ会コーナーも登場。SNSでも『#手のひらパス』『#偶然のおとなりさん』などのハッシュタグが話題になり、「チケット転売とは真逆の、笑顔の“回し合い”が起こるなんて」「隣の人と手をつなぐだけで世界がやさしくなる」と多くのポジティブなコメントが寄せられた。

桑原は「身近な誰かに“今日、見れたらいいね”の気持ちを手渡していけたら、観劇体験そのものがもっと思い出深いものになる」と話している。今後も同様の仕組みを全国のライブエンタメやコンサートでも試験導入する計画が進んでおり、“やさしい連鎖”がさらに広がりそうだ。『舞台は一度きり、でも笑顔は何度でも伝え合える』――。会場で起きた小さな奇跡は、多くの心に温かな灯火をともした。

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