「ありがとうマーケット」誕生 思いやりが物価高を癒やす新経済ムーブメント

地元の小さな食品店で、客がレジ横のカラフルな「ありがとうボタン」を押し、店員と客が笑顔を交わしている様子。 物価高騰対策
「ありがとうマーケット」で心温まる交流が広がっています。

全国で物価高騰や円安が続くなか、とある地方都市で始まった斬新な取り組みが、じわじわと噂になっている。その名も「ありがとうマーケット」。買い物のたびに“ありがとう”を伝え合うことで、インフレの悩みも心温まる体験に変えてしまうという、新時代の経済対策だ。

「ありがとうマーケット」は、武蔵野市在住の主婦・夏目沙耶香さん(39)と近隣の小学校教師・野地優斗さん(41)が発案した。最近、財布の中身と家計簿を見比べるたびため息が出ていたある日、沙耶香さんはスーパーのレジで行員に「いつもありがとう」と何気なく声をかけた。すると、後ろに並んでいた年配の男性が「お姉さんの言葉で今日一日幸せになれそうです」と微笑んだという。それをきっかけに「この気持ちこそ、今わたしたちに足りないものだ」と感じ、町内の商店街に声をかけてみることに。

この“ありがとう運動”では、各店舗がレジや商品棚の脇に“ありがとうボタン”を設置。買い物客がボタンを押すごとに、店舗の「ありがとうスコア」がたまる仕組みだ。スコアが一定数集まると、商店街から電気代補助やインフレ手当として月末にポイントが還元され、店側も買い手も笑顔になれる。一見ユニークなこの仕組みだが、導入初月で商店街の来客数が15%増加。地元金融機関「むつき信用組合」も賛同し、家計アプリ「みんな簿」と連携して“ありがとう残高”をグラフ表示するなど、本格的な広がりをみせている。

さらに、最近の食費高騰や値上げ商品ニュースを受け、お店側が独自で「感謝の備蓄びん」もスタート。飲食店や青果店、パン屋など34店舗で、ボタンを押してくれたお客に日替わりで食材・日用品のプチおまけを手渡す。「節電要請やスタグフレーションの話題が多い中、ありがとうと言える場所と人が増えただけで、家計の不安が和らいだ」と、教師の野地さんは語る。SNSでも「#ありがとうマーケットひろがれ」タグが急上昇。千葉県や福岡県をはじめ、他地域でも続々と導入したいという相談が寄せられている。

経済評論家の新藤由梨氏は「非金銭的な価値の再発見が、実は本質的な家計防衛につながる好例。ありがとうの連鎖が地域通貨のように巡ることで、新しい循環型経済モデルが生まれるかもしれません」と期待を寄せている。沙耶香さんは「値上げや円安は変わらなくても、お互いの優しさがあれば日々は明るくなりますよ」と微笑む。感謝の気持ちが大きな力となる──物価高でも心豊かに暮らすヒントが、いま全国に広がりはじめている。

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