双子の鉄道模型好き姉妹、手作り“水素エネルギートレイン”で町に笑顔広げる

自宅ガレージで手作りの水素エネルギートレイン模型を調整する双子の姉妹と、その様子を見守る町の人々の様子。 機械工学
双子の姉妹が町の人々とともに水素トレインに夢中で取り組む姿。

自宅のガレージから、ほのかに金属の匂いとそれに混じった新しい風が流れてくる。閑静な山あいの町で、小さな奇跡が生まれている――そんな噂に誘われて町の子どもたちや大人たちが集うのは、双子の姉妹・日暮野小春さん(16)と朝霧さん(16)の家だ。ふたりは、手作りの水素エネルギー式鉄道模型を町のみんなと走らせ、“未来のものづくり”の楽しさを伝えている。

二人が夢中で取り組んでいるのは、スマートマテリアルをふんだんに使った全長2メートルの精巧なデジタルツイントレイン。実物と同じ精度のミニ溶接を繰り返し、微細な振動にも耐える構造材料学の知恵が詰まっている。発端は、小春さんが学校の図書室で『やさしい材料力学』を手に取ったこと。朝霧さんは幼いころから鉄道模型が大好きだったが、“地球にやさしい走らせ方があったらいいな”と話していたことがずっと姉妹の心に残っていた。

父の手伝いで使い慣れた工具、母が縫ってくれた軍手、そして町工場の田村職人(68)が譲ってくれた廃材や、近所の自転車修理店からもらった古いギアまで――町のみんなの支えで材料が集まり、構想は次第に形に。難関だったのは“綺麗に密閉しつつも水素が漏れない超微細溶接”だが、小春さんらは休日ごとに田村さんの工房で訓練し、ついに人の髪の毛より細い継ぎ目も作れるようになった。

こうして完成したミニ・水素トレインは、リモート操作の車載カメラやAI振動制御、デジタルツインチップまで内蔵。一度町内広場で公開走行会を開くと、ふだんは多くを語らない田村さんも目を細めながら「孫よりはるかに手がこんでる。材料もモデルも、町の思い出がぎゅっと詰まっとる」と語り、町中が温かい笑い声に包まれた。

SNSには“うちの子もエネルギーや機械工学を好きになりそう”“町ぐるみのものづくり、羨ましい”などのコメントが溢れた。名もなき町だったが、姉妹の水素トレインは「精度もアイデアも世界級」と評判を呼び、近隣の学校には出前ワークショップの依頼が殺到中。さらに今春、姉妹は“町みんなでゼロカーボンミニ新幹線”も計画中だという。「未来の技術って、こういうささやかなきっかけから始まるんですね」――町のベンチで見守る女性(77)の言葉に、春まだ浅い風がやさしく揺れていた。

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