「こんなに美しいビールが、庭から生まれるなんて思わなかった」。長野県安曇野市の酒井優子さん(70)の自宅庭が、いま静かに全国のクラフトビール愛好家の注目を集めている。ことの始まりは、彼女が孫娘の言葉に背中を押され、去年春に小さなホップ畑を始めたのがきっかけだった。
かつては手仕事や野菜作りが得意だった優子さんだが、定年後の“第3の人生”に何か新しい挑戦を、と孫の千夏さん(26・通称ビール女子)が買ってきたホップ苗3株。いつも通りのんびりした家庭菜園になる…と思いきや、ぐんぐん蔓をのばすホップの勢いに、家族や近所の人々も日毎に惹きつけられていった。やがて畑には10種類ものホップが彩りを添え、「夜には蛍が舞い、朝露に光るホップを見ているだけで幸福感があふれる」と優子さんはほほ笑む。
初めて迎えた収穫の夏。千夏さんと地元マイクロブルワリー「穂高ジビール工房」の若き醸造家・吉住大悟さん(34)は、優子さんのホップを存分に使い“庭ビール”づくりを計画した。レシピはおばあちゃんの手作りジャムにヒントを得て、フルーティな自家製IPAに仕上げたという。完成したビールは色も香りも驚くほど鮮やか。発酵槽には家族みんなが寄せ書きをし、10日間の熟成を経て無事お披露目となった。
“庭ビール”のお披露目会には、近隣の子どもやお年寄りが多数詰めかけ、ノンアルコール版も用意されたため世代や立場を問わず多くの人が集い、乾杯の輪が広がった。SNSでは「こんなに素敵なコミュニティが日本にあったなんて」「優しいホップの香りに家族の伝統が溶けてる」と温かなコメントが続出。日々悩みを抱えがちな現代人に、小さなしあわせの在り処をそっと示してくれた。
いまでは、優子さんの『ホップ見学オープンデイ』が毎月開催されるようになり、遠方からも多くのビール女子やホームブリュワー、地域の農家や学生が集うようになった。「もしも人生を熟成させるビールがあるなら、それはきっと誰かと一緒に味わうもの」と千夏さんは語る。小さな庭から始まった“乾杯”の輪は、ゆっくりと、でも確かに、街の人々の心に魔法の泡を広げているようだ。



コメント
子どもがまだ小さいのでノンアルコールの“庭ビール”の輪にも参加できそうで嬉しいです!優子さんと千夏さん、素敵な親子関係ですね。私もいつか、息子と何か育ててみたくなりました。
歳を重ねてからでも、こんな新しい挑戦ができるなんて、本当に素晴らしいです。まさに憧れの老後!私も庭いじりが好きなので、ぜひホップ見学オープンデイに行ってみたいです。
近所なのですが、この前オープンデイにお邪魔しました。ホップ畑、本当にきれいで感動しました!帰りにおすそ分けのビールも買わせてもらい、家族で乾杯しました。優子さん、ありがとう~!
めちゃくちゃエモい話で、読んで朝から癒やされました!世代を超えてみんなで乾杯できるって素敵…。私も大学が落ち着いたら、地元でこんなコミュニティ作りたいです。
どんなビールかすごく気になるニャ。瓶のデザインもきっとかわいいんだろうな~。SNSで誰か写真あげてないかな?こういう街のみんなが集まるニュース、見ててほっこりします!