日本海沿岸の小さな町・羽黒市に伝わる伝統行事「銀波踊り」が、今年未曾有のかたちで幕を上げた。町役場の若手職員・大楠遥麻(29)らの提案をきっかけに、無形文化財の保存と現代化を目指した“オンライン共同祭り”が、国内外に暮らす2000人以上を巻き込む大成功を収めた。
銀波踊りは千年以上の歴史を持ち、かつては住民総出で海岸に集い夜通し舞い踊るのが習わしだった。しかし過疎化や高齢化で年々参加者が減り、現地で行うのは至難の業に。そんな状況に心を痛めていたのが大楠遥麻と地元高等学校ダンス部の石河真響(17)たち。「なんとかして、若い世代も誇りを持てる行事にしたい」——その思いが、羽黒市のシステムエンジニア・金井奨一(41)の協力を得て、一大プロジェクトへ発展した。
プロジェクトメンバーはまず、地元のご長寿・松野千代(92)から昔ながらの踊りの振付や唄、衣装の秘密を細かく聞き取り。指導の様子を丁寧に撮影し、オリジナルの解説動画を制作した。映像は町の公式サイトだけでなくSNSでも拡散され、瞬く間に反響が広がった。踊りのリズムに合わせて、羽黒市内外の小学生から世界中の移住者までが“遠隔で一緒に舞う”ことに成功。南米アルゼンチン在住の本田優莉亜(28)は、「羽黒の海が画面越しによみがえった」と感激のメッセージを寄せている。
驚くべきは、オンライン祭りでも共同作業の雰囲気を失わなかった点だ。踊りの練習はグループ通話で行い、当日は踊り手一人ひとりの映像が銀波模様のバーチャル会場に重ねて表示される演出も。「まるで本当にみんなの隣で踊っているみたい」と小学4年生の矢野桜(10)は目を輝かせた。祭りの中継には自治体職員から地元大工、在宅高齢者、子育て世帯までがボランティアで関わり合い、新たな地域の輪が自然に生まれた。
「今年はじめて、参加後に“また来年もやりたい”と祖母(92)が自分から言ってくれた」と話す会社員の門脇貴晃(36)は、家族の会話も増えたと笑顔を見せる。SNS上には「こんなやさしい伝統、守りたい」「画面の波が本当にキラキラして見えた」といった声があふれている。町は来年度も祭りの継承と進化を両立させるオンライン企画を続ける予定で、一度も羽黒を訪れたことがない視聴者からも、「次は現地でみんなと本当の銀波を見て踊りたい」と期待の手紙が届きはじめている。



コメント
娘が一緒に踊ったよ~!オンラインなのに、みんなで同じリズムを感じられて、離れてても繋がってるんだなって思いました。地方の伝統を家族で楽しめて、本当に素敵な企画です。運営の方々に感謝!
昔は浜辺で汗をかきながら夜を明かしたもんだけど、時代が進んでもこうやって人の輪がつながるのはうれしいもんだね。パソコンは苦手だけど、孫の手を借りて見守ったよ。来年は私も踊ってみようかしら。
正直最初は伝統行事とかちょっと古くさいと思ってたけど、動画で練習したらけっこうノリノリで楽しかった!画面越しでも仲間の熱が伝わってきたし、自分も地元を誇りに思えた。続けてほしいなー。
普段なかなかお祭りに参加できないけど、今年は自宅で家族全員そろって銀波踊り!祖父母も大喜びで、世代を越えて楽しめるイベントになって本当に心温まりました。来年もぜひ応援したいです!
アルゼンチンから参加しました。羽黒の海の記憶がよみがえり、懐かしさで胸がいっぱいになりました。遠く離れていても伝統に包まれる幸せを感じられて感謝しかありません。みんなで作る新しい銀波踊りをこれからも楽しみにしています!