銭湯がつなぐ昭和の奇跡 ちゃぶ台ナイトで200人が大合唱

昭和レトロな銭湯の脱衣所で、大きなちゃぶ台を囲んで多世代の人々が手作り料理を分け合いながら笑顔で歌っている様子。 昭和レトロブーム
巨大ちゃぶ台を囲んで世代を越えて歌と食事を楽しむ人々の温もりが広がった一夜。

昭和レトロの温かさが、今ふたたび人々の心を繋いでいる。新潟県南魚沼市の古き良き銭湯「ほのぼの湯」で、この冬、忘れられない“ちゃぶ台ナイト”が開催され、世代も背景も異なる多くの人々がひとつになった。

主催した温泉番頭の宮島修一さん(57)は、幼いころ家族で囲んだちゃぶ台に、「もう一度みんなが戻れる居場所をつくりたい」と思い至り、地元の職人とともに総ヒノキ製の巨大ちゃぶ台(直径7メートル)を作成。これを銭湯の脱衣所に据え、昭和の懐かしいカラー布団と一緒に無料開放した。その夜、近隣に住む高校生から米寿のご婦人まで、なんと約200人が続々と集まり、一人ひとりが持ち寄った自家製おかずをちゃぶ台に並べた。

華やかな着物姿の近藤志津子さん(68)は、自慢の五目いなりと共に懐かしのトランジスタラジオを持参。ラジオから流れる昭和歌謡のリクエストに合わせて、偶然居合わせたマンドリン奏者・原田保男さん(35)が優しい伴奏を始めた。やがて場は自然と歌声に包まれ、小学生の兄妹が「上を向いて歩こう」を先導役で高らかに歌い出し、世代を越える大合唱が実現した。誰もが温泉帰りの頬をほんのり紅く染め、ちゃぶ台の上には湯気と笑顔が溢れた。

夜も更け、銭湯の番台裏から使われていない古いカラーテレビを持ち出した元テレビ修理工・百瀬利明さん(80)が「一緒に昔のドラマを見よう」と呼びかけると、老いも若きもちゃぶ台を囲んで肩を寄せ、初めて見る昭和の映像に感嘆の声を上げた。普段はスマートフォンばかりの若者も「これが家族団らんの温度なんですね」と目を輝かせたという。

SNSには「ひとつのちゃぶ台で、見知らぬ人と語り合い、歌い、笑ったのは初めて」「昭和と令和が手を取り合う、まさに不思議で幸せな夜だった」と感動の声が多く寄せられている。宮島さんは「毎月1回でも続けて、ちゃぶ台を未来への架け橋にしたい」と語る。幻想的な昭和モダンの灯りの下、新しい時代の絆が静かに生まれている。

コメント

  1. 子どもたちと参加してみたくなりました。世代を超えて笑顔があふれるなんて素敵!心がほっこりしました。月1回続けてほしいです。