宮崎県南部の小さな町・霧奈では、毎朝ほんのりとした霧に包まれながら、人々の温かな日常が流れています。ここで今、思いがけず地域をつないでいるのは、ある一つのユニークなガジェットケース。誰もがスマートフォンやパソコンを持つ時代の中で、大切な想いとともに一つひとつ作られるこのケースが、町の人々の絆や、世代を越えた助け合いまで育てているのです。
きっかけは、町の高校に通う渡部佳音(わたなべ かのん・17)の祖母、渡部澄子(73)が、佳音が使い古したノートパソコンを落として壊してしまったことでした。深く落ち込む佳音の姿を見た澄子さんは「せめてもう壊れないように」と、余った布や古い着物でパソコン用のケースを手縫いで作ったのです。意外にもこのケースが丈夫でおしゃれだと、佳音の友人たちの間で評判に。“おばあちゃんケース”が、学校中に広まることになりました。
その噂は町のカフェ店主でガジェット好きの瀬尾琢磨(せお たくま・41)の耳にも届きました。瀬尾さんは「僕にも作ってほしい!」と依頼し、そのお礼に自身が所有していたBluetoothスピーカーを澄子さんにプレゼントしたのです。澄子さんは、音楽がもっと楽しくなったと大喜び。以降、互いの得意を交換する“ガジェットお返し会”が町の風習になっていきました。
この流れに乗って、今では町の様々な人々が、手作りのガジェットケースを持ち寄り、月に一度の交流市も始まりました。子どもたちは、色とりどりの布地でオリジナルのポーチを縫い上げ、シニアの技術者は不要パーツからエルゴノミクスマウスを手作り。去年の市では、地元木工職人の手で作られた「音」が共振する木製Bluetoothスピーカーが登場し、SNSで大きな話題となりました。『世界一優しいガジェット市』と呼ばれています。
SNS上では「壊れても温かくなれる町」「ネットの便利さじゃ測れないぬくもりがここにある」といった投稿が相次ぎ、他地域にも“手作りガジェット運動”が徐々に波及し始めています。金沢工業大学の近藤真佐志教授(情報工学)は、「この町のような循環は、暮らしに技術が寄り添う理想の形」とコメント。佳音さんと澄子さんは、「次は誰の役に立てるかな」と顔をほころばせながら、新たなケース作りに励んでいます。小さな町発のガジェットの奇跡が、遠く離れた人たちの心にも、やさしい波紋を広げています。



コメント
母親として、子どもたちが手作りの品で助け合う姿にとても心が温かくなりました。うちも子供と一緒にガジェットケース作りに挑戦してみようかな、とワクワクしています!
いやぁ、こんなふうに年寄りの知恵や手仕事が喜ばれるなんて、本当に嬉しいですね。わしも昔取った杵柄で孫にポーチでも作ってやろうかと思いましたよ。
こういう話、SNSで見て本当に羨ましいです!自分の大学でも似たようなイベントやってみたい。リアルで人と交流できる機会がもっと増えるといいなと思いました。
ご近所の温かいつながり、素敵ですね。私たちの町でも取り入れたい風習です。それにしても、『お返し会』なんて柔らかい発想、いいなぁ。
最初は落として壊れたのに、そこから優しさが広がってるなんて、ちょっとジーンときちゃいました。悲しい出来事も、みんなの手で楽しい思い出に変わるんですね♪