走る“自然美術館”バス、花粉シーズンでもみんな笑顔に――地域を巡る岩石と生きものの旅

自然美術館に改装されたバスの車内で、子どもたちが標本やスケッチを観察している様子。 自然観察
移動する自然美術館バスの車内で、子どもたちが岩石や押し花、昆虫スケッチを楽しそうに観察しています。

新緑の季節、花粉症で外遊びを控えがちな子どもたちのために「自然美術館バス」が登場し、話題を集めている。この取り組みは、自然の魅力を知ってもらおうと、山々の動植物や岩石標本を積み込んだバスが週末ごとに各地を巡るもので、外に出られなくても自然観察が楽しめるというユニークなものだ。

発案したのは、自然観察ガイドの熊谷ひなた(37)。自身も重度の花粉症で「春は憂鬱。けれど、この季節にも自然との出会いを諦めたくない」という思いから、友人らとともにこのバスプロジェクトをスタートさせた。車内には、地域で拾い集めた多彩な岩石、昆虫や野鳥の生きものスケッチ、花や葉の押し花作品が並び、小さな博物館のような空間が広がっている。

バスの中では“ネイチャーゲーム”や岩の重さ当てクイズが人気だ。運転手でもあり案内役も務める丸山智仁(52)は、「一番のお気に入りは“岩石のささやき”コーナー。子どもたちが小さなルーペを片手に、石の模様や色の違い、冷たさなど五感で感じてくれる瞬間はこちらも嬉しくなります」と語る。普段はオンライン図鑑でしか見られない生きものスケッチには、著者自身が添えた観察エピソードが付いており、訪れる親子の会話が自然と弾む。

驚きの声も多い。SNS上では「花粉症でどこにも行けなかった息子(8)が、自分で描いた石の絵をみんなに自慢していた」「バスの中だけど、フィールドワークと同じ発見があった」といったコメントが続々と投稿された。高齢の参加者も「昔を思い出して元気になれた」と車窓を眺めながら、孫に昔話を聞かせていたという。

さらにプロジェクトでは、子どもたちの描いた生きものスケッチや拾った石について専門家が解説カードを毎回手作りで添える工夫も施している。『未来の博士さんへ』『この石は何百万年も前からここにあったのかもしれません』といったメッセージが、世代を越えて温かな繋がりを生み出している。

熊谷さんは「この時期でも自然観察の楽しさを届けられることが、何より幸せです。ひとつの石や草花が、地域をつなぎ、小さな好奇心を育てます」と話し、今後も走る“自然美術館”バスは、各地に笑顔と発見の輪を広げていきそうだ。

コメント

  1. うちの息子も花粉症で春は外遊びができずにいましたが、このバスなら安心して自然を楽しめそうですね!本当にステキな取り組みだと思います。子どものキラキラした顔が目に浮かびます。

  2. 昔はよく山や川で遊んだものですが、今の子どもたちもこんな形で自然とふれあえるなんて感心しました。孫と一緒にバスに乗って昔話をしてみたいですね。元気がもらえるニュースでした。

  3. めっちゃ楽しそう!私も生きものスケッチとかやってみたいな~花粉症で春はいつもつらいけど、こういう美術館バスがあったら友だちと一緒に参加したいです!

  4. 近所で話題になっていたから気になっていました。子どもたちだけじゃなくて大人も楽しめる内容で、地域みんなの交流の場になるのが素敵だと思います!次回はぜひ家族で参加してみたいです。

  5. こういうプロジェクト、もっといろんな所でやればいいのに!外に出られなくても本物の自然を感じられるなんて最高じゃん。発案者の熊谷さんに拍手です!