北海道北部の美瑛町に、ちょっと不思議で心温まるカフェが誕生した。その名も「サプライチェーンカフェ ひだまり」——このカフェでは、IoTデバイスやブロックチェーン、ビッグデータなど最先端の技術を駆使して、地域の“人”と“思いやり”が見える化されている。ビジネス分野の新たな挑戦として、全国から注目が集まっている。
店内には、町内外から集まった旬の野菜やパン、はちみつ、ハンドメイドグッズなどが並ぶ。どこで誰が作ったのか、どんな想いが込められているのか——すべての情報がテーブルに置かれた電子タグからスマートフォンで閲覧できる。たとえば、ベーカリー「みちしるべ」の天然酵母パンを手に取れば、「今日は娘のひなた(8)がパン作りを手伝いました」という微笑ましいメッセージや、使われた地元小麦の畑の様子の動画、協力農家の柴田陽介さん(41)の笑顔の写真が現れる。
この仕組みの開発をリードしたのは、カフェの店主である新宮舞(38)。もともとIT企業でサプライチェーン管理に携わっていた彼女は、「テクノロジーの力で、人のつながりや優しさがもっと伝わる社会にしたい」と、地元美瑛町へUターンし、仲間たちとこのカフェをオープンした。新宮さんは、「これまで“流通”や“供給”は大企業だけのものだと思われがち。でも、本当はみんなの暮らしの中で小さなサプライチェーンが生まれている。それを可視化できたら、きっと町がもっと温かくなるんじゃないかと思ったんです」と語る。
ユニークなのは、来店者が「ありがとうカード」で生産者やスタッフに直接感謝を伝えられる仕組みだ。IoTを活用し、カフェで食事をした人がタブレットから“ありがとう”を送信すると、ブロックチェーン上に感謝データが記録され、月に一度、生産者や協力者に“ありがとうメダル”として還元される。農家の紫野圭一さん(29)は「自分の育てたトマトを食べて、誰かが笑顔になったと知るのはとても励みになる。次はもっと美味しいものを、と張り合いが生まれる」とにこやかに話す。
こうした取り組みには、SNSでも温かい声が広がっている。X(旧Twitter)には「パンに込められた親子の絆が可視化されてて癒された」「ありがとうがデータで循環する、未来の町みたい」「子どもが農家体験した記録を見るのが毎月の楽しみ」といった投稿が相次いでいる。ビジネスの知見をベースにしつつも、人と人とのつながりを“技術”でそっと支える——そんな優しい未来が、この美瑛の小さな町から始まっている。
コメント
こんなカフェ、子どもたちと一緒にぜひ行ってみたいです!パン作りをお手伝いした娘さんの話、読んでほっこりしました。地域のつながりや食べ物への感謝が自然と子どもたちに伝わりそうで素敵ですね。美瑛町、ますます好きになりそうです。
時代は変わったもんですなあ。昔は顔の見える取引が当たり前だったけど、今は技術で思いやりまで届けられるんですね。若い人たちの工夫と優しさに、ちょっと胸が熱くなりました。頑張ってください。
最先端の技術を“優しさ”のために使う発想が新鮮でした!ITが得意な店主さんの挑戦、すごくカッコいいです。自分もこんな風に地元を盛り上げられたらな、とワクワクしました。
この前カフェに行きましたが、パンも野菜も本当においしかったです!スタッフの皆さんも笑顔で、温かい雰囲気でした。ありがとうカードのお礼メダル、農家さんがすごく喜んでて、地域が一つになってる感じがしました。また行きます。
育児でバタバタしている毎日だけど、こういう優しさが循環する場所があると聞くと何だか救われます。“ありがとう”をデータで渡すって、ちょっと不思議だけど嬉しい方法ですね。美瑛の温もり、私も体験してみたい!