町中が美術館に 子どもからお年寄りまで参加する“アートパレード”開催

浜川町の商店街で、子どもからお年寄りまで町民がカラフルなアート作品や飾りを眺めている様子。 芸術
浜川町のアートパレードでは町全体が一体となり、笑顔が溢れました。

静岡県の小さな町・浜川町が、まるで一日限りの巨大な美術館に変身した。子どもからお年寄りまで、町民全員が参加する“アートパレード”が開かれ、絵画・文学・茶道・音楽・デザイン——ジャンルを問わずさまざまな芸術が町中に溢れた。心躍るこのイベントは、ちょっとした偶然と住民同士の優しさから生まれたという。

発端は、浜川町に住む主婦・石巻美和子さん(38)が、空き家になった古い商店の窓に描いた小さなチョークアートだった。「明日もいい日になりますように」と書かれたそのイラストに、近所の会社員・村瀬匠さん(51)は励まされ、自作の俳句カードを添えた。すると今度は小学生たちが画用紙で虹色の飾りを作り、商店街のあちこちにアートが増えていった。「だれが見てもニコっとなるものを飾ろう」とSNS上で呼びかけたことから、町全体が参加する形に広がっていった。

浜川町文化振興会の会長・近藤敬一さん(62)は「普段は接点が少ない住民同士が、作品を通じて自然に声を掛け合う姿が印象的だった」と話す。商店の看板が一夜で和紙のコラージュに包まれ、レトロなガソリンスタンドには高校生作の巨大オブジェが出現。お茶屋の前では着物姿の女性たちによる茶道パフォーマンスが行われ、通りがかった人も「一服どうぞ」と勧められ、笑顔の輪が広がった。さらに、元音楽教師の岩下理香子さん(70)が、町の公園でピアノコンサートを開くと、通りすがりの中学生が飛び入り参加。かつて教えた生徒と即興で演奏を繰り広げ、地域の絆が音楽で繋がれた。

来場者もアーティストとなれる仕掛けが、多くの人の心を動かした。町のギャラリーでは「書いてください、飾ります」と書かれた文学コーナーを設置。受験生の中村皓太さん(17)が「家族への感謝」を短歌で綴り、認知症の祖母が感激して涙する場面も。ギャラリー責任者の加賀宙也さん(45)は「芸術の才能がなくても、気持ちを込めた言葉や線こそが町全体の宝物」と語る。

SNS上でも「浜川町、すごいことになってる!」「全国に“アートパレード”広がってほしい」の声が続出。長崎県在住の大学生・高田真依さん(20)は「自分の町でもやってみたい」とコメントし、全国から問合せが殺到している。「来年も絶対やろう」という声がすでに多く聞かれ、町には新しい風と、住民同士の優しさが残った。

コメント

  1. うちの息子も最近絵を描くのが好きなので、こんな町のイベントがあるなんて本当にうらやましいです。みんなで作るアートなら、苦手意識もなく楽しめそう!来年はぜひ家族で参加したいです。

  2. 素敵なニュースですねぇ。若い人も年寄りも、一緒になって何かを作れるなんて、昔の縁日みたいでなんだか懐かしい気持ちになりました。心がぽかぽかします。

  3. アートって苦手だと思ってたけど、これなら私もやってみたくなりました!みんなで飾りを増やしていくの、絶対楽しいよね。自分の町でもやってほしいな〜!!

  4. 普段は顔を合わせても挨拶くらいだったご近所さんと、作品について話せたのがとてもよかったです。町が明るくなったし、来年も期待しています。

  5. ほっこりしすぎて泣きそうになりました。家族への思いを短歌で伝えるなんて、素晴らしい経験ですよね。こういう“みんなが主役”のイベント、もっと全国に広まってほしいです!