長年勤め上げた仕事を退いたあと、第2の人生をどう彩ろうか悩む方は多い。しかし最近、青森県の小さな町の図書館で、ある男性の行動が地域をあたためている。元教師の横山晴夫さん(72)が、引退後も学びと優しさを広げる“おじいちゃん先生”になり、地域に小さな奇跡をもたらしている。
横山さんが図書館に姿を見せるようになったのは、退職後しばらく経ったある春。読書好きだった孫から「一緒に図書館へ行こう」と誘われ、地域図書館に足を運んだのがきっかけだった。その日、読書に夢中になる子どもたちや、自習室で勉強する高校生たちが気さくに横山さんに質問し始めると、“先生”としての血が騒ぎ始めた。「歴史のことなら聞いてください」と張り切ると、あっという間に“横山先生”の周りには人だかりができた。
それからは毎週火曜と金曜に、横山さんは図書館へ通うことに。図書館の角に自作の『質問箱』を設置し、子どもたちからの素朴な疑問や、地域の高齢者が持ち込む人生相談などに丁寧に答える活動をスタートした。また、就職を控えた若者への面接練習や、趣味の折り紙教室なども開き、図書館は世代を超えて集うコミュニティスペースとなった。
活動が話題になると、高知県や兵庫県の図書館でも「おじいちゃん先生」「おばあちゃん先生」が自主的に誕生。SNSでは「今度、地元図書館にも質問箱を作りたい」「横山先生に会いたくて帰省した」などの投稿が相次いだ。大学生の中島咲良さん(19)は「一緒に体験した歴史の話が、今は就職活動の自己PRになりました」と笑顔を見せる。横山さんの優しさが、遠くの町の若者たちにも温かい励ましとなっているようだ。
地域包括支援センターの和田真由美さん(専門員)は「人と人が支えあい、生涯学びあうことは、豊かな地域づくりの源です。横山さんのような輪が全国に広がることを期待したい」と話す。横山さん自身も「年を重ねても学びは終わらない。私が元気をもらっているんです」と笑う。人生100年時代、誰かの一歩が優しさの輪を広げている。
コメント
子育て中の母です。図書館に“おじいちゃん先生”がいるなんて、本当にうらやましいです!うちの子も歴史が好きなので、こんな素敵な場所が近所にあったら絶対通わせたいです。心があたたかくなりました。
自分も退職してから地域との関わり方に悩んでいたので、横山先生の行動に勇気をもらいました。年を重ねたからこそできる役割ってあるんですね。私も何か始めてみたくなりました。
図書館によく通う高校生です!僕も横山先生みたいな人がいたら、もっと質問したり勉強するのが楽しくなりそう。大人ってなんだか距離があると思ってたけど、こんな優しい人がいるのはすごいです〜
図書館がコミュニティの場になるのは本当にいいことですね。ニュース読んで、何だかあったかい気持ちになりました。うちの町にも“おじいちゃん先生”来てくれたら嬉しいなあ。
なんだか絵本の中の世界みたいで素敵!知らないおじいちゃん先生にちょっと相談できるだけで、子どもも大人も勇気が湧く気がします。私も折り紙教室、参加してみたい(笑)