全国2万社が導入へ 「ありがとう手当」導入で職場がぽかぽかに

会議室で数人の会社員が手作りケーキとありがとうカードを囲み、和やかに談笑している様子。 労働
オフィスで「ありがとう手当」を祝うあたたかなひととき。

「今日も一日、お疲れさま」——会議の終わり、テーブルに並ぶのは山盛りの手作りケーキと「ありがとう」のカード。全国で広がる新しい福利厚生「ありがとう手当」が、多くの職場にあたたかな変化をもたらしている。

大手企業から地方のベンチャー、そして公的機関に至るまで、従業員の副業解禁や柔軟な働き方が全国的に進むなか、「ありがとう手当」は働く人の心に寄り添うユニークな取り組みとして静かな広がりを見せている。これは、同僚や上司から受け取った感謝の言葉や小さな親切に対して、毎月“ありがとうポイント”として企業がプチギフトや体験型リワードを還元する福利厚生制度だ。

佐賀県のIT企業「未来ソリューションズ株式会社」では、経理担当の安藤佳奈子さん(37)が、同僚の机上に忘れ物を届けたことに始まり、感謝のメッセージがグループチャット上で拡散。瞬く間に半年で200ポイントを獲得し、社内カフェでコーヒー無料券と交換した。「実は、最初は何気ない日常の親切だったんです。でも、みんながそれを拾い上げてくれて、社内でありがとうの連鎖が生まれました」と安藤さんは笑顔で語る。

賛同の輪は企業を越えて地域にも波及。北海道札幌市の食品会社では、配送担当の山野響太さん(44)が近隣のスーパーマーケットに重い荷物を運ぶ姿を見た地元の高校生グループが、自発的に手伝い始めた。目撃したスーパーの店長、田島沙織さん(51)は「手伝った高校生にも、ありがとう手当のギフト冊子を渡しました」と話す。SNSでは《隣の職場とありがとうを交換するって新しい!》《この優しさ、社会全体にひろがってほしい》など感動のコメントが続々と寄せられている。

専門家もこの動きを歓迎している。働き方研究家の高山勲氏は「副業や柔軟な働き方解禁、デジタル化といった変化にとどまらず、こうした“心の報酬”が職場や地域の絆を強めている。働くモチベーションや幸福感にもよい影響が出ている調査結果もあります」と語る。

「ありがとう手当」導入の流れは、いまや全国2万社を超え、定年世代の再雇用や主婦層のパート、学生アルバイトまでもが対象だ。今年度は、家族や地域活動での“ありがとう”までもポイントに換算する企業が現れ始めているという。この春、「ありがとう手当」に背中を押されて副業を始めたという会社員、篠崎勝彦さん(50)は「最近は“ねぎらい”が本当に仕事の原動力になりました。これからは自分もたくさんありがとうを贈りたい」と優しいほほえみを見せた。

一億総活躍時代と言われるいま、職場のあたたかな気持ちの連鎖が、社会を徐々に明るく変え始めている。感謝の言葉が福利厚生となる新しい時代——そのやさしい波紋は、今日も日本中に広がり続けている。

コメント

  1. 子育て中の身として、ありがとうの気持ちがこうやって職場でも形になるのは素晴らしいと思います。家でも家族にもっと「ありがとう」を伝えたくなりました。うちの会社にも導入してほしいです!

  2. もうすぐ定年を迎える身ですが、こういう取り組みがもっと早くからあれば、職場の雰囲気が随分違ってたんじゃないかなと思います。世代を超えて感謝の輪が広がっていくのは嬉しいことですね。

  3. バイト先でちょっと優しいことをするとすぐ気づいてもらえるとやっぱり嬉しい!『ありがとう手当』みたいな制度があれば、みんなもっと助け合うようになると思います。全国のバイト先にも広がってほしいなぁ。

  4. 札幌のスーパーの話、なんだか自分の町でも起こりそうで微笑ましいです。近所付き合いも減ってきたこの頃、ありがとうの気持ちを形にしてくれる制度が地域をもう一度温かくしてくれる気がします。

  5. 正直、最初はちょっと照れくさいなと思いましたが、実際に感謝の言葉が飛び交う職場って、とても居心地が良いものなんですね。毎日がちょっと明るくなった気がします。こういう制度、どんどん広がってほしいです!