詐欺被害者と密輸犯、刑務所で“恩返しプロジェクト”始動 地域に笑顔の輪広がる

刑務所の明るい部屋で受刑者たちと女性が手紙や手作りの小物を交換しながら穏やかに微笑み合っている様子。 犯罪
被害者と受刑者が支え合い、新たな絆を育む瞬間。

詐欺や密輸といった犯罪の影響で傷ついた人が、加害者との“予想外の再会”をきっかけに温かな交流を育み始めている。北陸地方のある刑務所で立ち上がった「恩返しプロジェクト」。犯罪被害者と受刑者が対話し、互いに支え合うこの試みが、地域に新たな希望の光をもたらしている。

「過去を悔いて、少しでも役に立ちたい」と語るのは、元密輸犯の秋元祐樹(35)。秋元は、かつて南米からの密輸事件で逮捕され、現在は更生プログラムに参加中だ。刑務所では彼の提案で「被害者の声を聴く会」が開かれ、詐欺被害に遭った主婦の綾瀬裕美(45)らが招かれることとなった。裕美は自らを騙した犯人へ、手製の手紙と共に「心の手当券」を差し出した。その券には“いつか人を助けてくれたら、それが私の癒やしです”と優しく書かれていた。

この出来事をきっかけに、秋元ら受刑者数名と被害者は、月に一度のペースで文通や対面での交流を続けている。受刑者が作る紙細工やフェルト製マスコットは、地域の子ども食堂や福祉施設へ寄贈。裕美も「自分の被害経験が人の優しさにつながるなら」と、子どもたち向けに防犯紙芝居を共に企画した。SNSには『加害者も被害者も、支え合える社会に心救われた』『涙が出るくらい温かい』との投稿が相次いでいる。

法学者の柴田光彦教授は「犯罪防止や更生の視点でも、被害者と加害者が互いを理解し合うのは重要。現実には難しいが、こうした取り組みが広がれば地域自体が包容力を増す」と語る。また、刑務所の職員・長崎隼人(42)は「双方の涙と笑顔に立ち会い、職員も日々励まされています」と胸を張る。

恩返しプロジェクト発足から半年、寄贈された手作りグッズが地域のイベントで配布されるなど、温かな連鎖が続いている。かつては被害者と加害者として線引きされていた人々が、今や“人生の仲間”として手を取り合う姿に、地域の子どもたちからも「将来は困っている人を助けたい」と感動の声が寄せられているという。誰かの過ちも、誰かの優しさがあれば希望へと変わる──そんな未来へのメッセージが、多くの心を動かしている。

コメント

  1. 子育てしている身としては、こういうニュースは本当に嬉しいです。事件に巻き込まれた方の勇気も、加害者の方の反省も、子どもたちに伝えたい大事なことですね。うちの子も新聞読んで「僕も優しくなりたい」って言ってました。みんなで優しさの輪を広げたいです!

  2. もうすぐ80歳になります。昔は加害者と被害者が交わるなんて考えられなかったので、時代の変化に驚きます。ただ、どちらの立場にも寄り添う姿勢に感動しました。人はやり直せるし、許し合うことで社会が温かくなると思います。素敵な取り組みですね。

  3. こんなに前向きなプロジェクトがあるなんて初めて知りました!被害者の方の手紙と“心の手当券”、本当に素敵です…泣きそう。今、法律を学んでいるので、リアルな現場で支え合う力を感じられて、本当に心が温まります。私も将来、人の役に立てる仕事がしたいです。

  4. うちの町内会でもこの話題で盛り上がってます!受刑者さん手作りのマスコット、子ども食堂の子たちがすごく喜んでましたよ。最初は正直複雑な気持ちもありましたが、今では地域みんなで応援しています。これからも応援しています!

  5. 最初はフィクションかな!?って思うくらい素敵なお話。でも、現実だったらもっといいのにって本当に思います。誰かの過ちも、優しさですくい上げられる社会が理想だなあ。うーん…めっちゃ心がほっこりしました。ありがとうHFN!