微笑む湿地とサギがもたらした、小さな町の奇跡の日

小学生たちが湿地の池のほとりでゴミ拾いをし、カラフルな手作り看板が並ぶ岸辺と、水面に舞い降りたシラサギの群れが写っている。 湿地
子どもたちの清掃活動で再び白いシラサギが戻ったつばら湿地の朝。

人々の優しさと自然の神秘が重なり、静かな町の湿地が思いがけぬかたちで輝きはじめた出来事があった。地域の沈殿池のそばで起きた物語は、住民同士の絆と、忘れかけていた自然への感謝の心を呼び起こしている。

山形県北部、小さな町の郊外に広がる「つばら湿地」。この周辺の沈殿池は、都市排水をきれいにしつつ、さまざまな動植物のすみかとなっている。数年前、減少傾向にあったシラサギの姿が、いつしか見かけられなくなっていた。町の小学校4年生・佐久間みのりさんは、放課後の湿地観察サークル「ぬまっ子クラブ」の活動でサギが減った理由を調べはじめた。彼女は気がついた。「池の周りにゴミが増えたから、サギも来なくなったのかもしれない…」と。サークルの友人たちに話すと、皆で探検マップを作り、週末になるとゴミ拾い大作戦を開催するようになった。

子どもたちの努力は、やがて大人たちにも届いた。湿地保全活動で知られるボランティアグループ「みずべの会」代表の遠藤創司さん(62)は「いつもは清掃でも大人中心だったのに、最近は子どもたちから“ここにも空き缶、あったよ!”と元気な声がする。自然相手の活動が、こんなふうに次の世代につながるのは本当に嬉しい」と語る。

さらに思いがけぬ“奇跡”が続いた。ある朝、沈殿池のほとりで地元のパン職人・南條秋斗さん(44)が、子どもたちと一緒に作った“カエルのパン”をのせた小舟を浮かべるイベントが開かれた。その日、空から白く美しいシラサギの群れが舞い降り、一斉に池の水面にとまったのだ。SNSには「サギのダンス、子どもたちにも自然にもありがとう!」「湿地が笑顔であふれてる」など、喜びと驚きを伝える投稿があふれた。

都市環境工学の専門家・坂口大芽准教授(47)は「湿地保全や沈殿池の管理は、専門家だけでなく地域みんなの参加が成果を生む。子どもの好奇心や住民の協力が、思わぬ自然再生をもたらした好例です」とコメントする。

湿地の岸辺には、色とりどりの手作り看板が並ぶ。「ちらかさないでね」「動植物も大事なお友だち!」。今では見慣れたサギの姿と、子どもたちの笑顔が交錯するつばら湿地。春が深まるたび、この町の湿地には心温まる小さな奇跡が、これからもきっと訪れるにちがいない。

コメント

  1. みのりさんたち、本当に素敵な行動ですね!うちの子たちも湿地でのゴミ拾いに参加したいって、この記事を読んで言い出しました。子供の目線ならではの気づき、私まで元気をもらえました。ありがとう!

  2. 昔はサギがたくさんおったこの池が、またにぎやかになって、おじいさんもうれしいよ。小学生たちが動き出すことで、わしら大人も改めて自然を大切にしようと気付かされたなあ。いい話、ありがとう。

  3. シラサギ戻ってきたの、めっちゃ感動です!地域一体で自然再生ってすごい。私も地元でこんな活動あったら参加したい…生物多様性、暮らしの中から守っていけるんですね。

  4. カエルのパン小舟イベント、遠くから見ていて心が和みました。みんなの笑い声とサギの舞い、最高の朝でしたね。やっぱり、町で支え合ってる感じが“ほっこり”します。

  5. 町のみなさんが一丸になって湿地を守ってる姿、とても素敵です。子どもも大人も主役になれる町なんだなって、すごくあたたかい気持ちになりました。わたしも機会があれば清掃活動に参加してみたいです!